丹後の送信済み

Re: トカチスナゴケとクロカワキゴケについて

日付
2010年03月06日 23時23分
差出人
退会したユーザー
シダは確か200種です。私の悪い癖で,記録は残さずすべて頭の中だけでやって来たのではっきりしません。つまり“記憶に残らないようなことはどうでもいいんだ”という理屈です。しかし,そうも言っておれない年齢になって来ました。コケはがっちり記録しています。

珍しいものとしては,オオエゾデンダが有名です。これを調べたい学者は隠岐へ来ることになっているそうです。アメリカの専門家が来た時に「北海道にもあるはずですが」と聞いたら,「熊が怖くて」と言っていました。昔小石川植物園の珍シダコーナー(?)に生苗を送ったことがあります。

他に,ヌカボシクリハラン・ナチシダなども隠岐の緯度では注目すべきものです。単に今,頭に浮かんだものだけを書いています(笑),すみません。

以下はちょっとしたものです。
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   隠岐諸島新産の植物 (2)
                  海士町  丹後 亜興     

  ヒモカズラ  Selaginella shakotanensis (Franch.) Miyabe et Kudo

 古生代を中心に栄えたイワヒバ科のシダ。長さ5,6cm,太さ1mmほどの紐状になり岩の上を這う。何なのか所属の見当がつかないような変な姿で,採集時(2006.4.17)にはコケ(蘚苔類)かと思った。何も生えていない断崖の上で,調査に立ち寄る必要も感じないし,視線を止める気も起きないような場所である。今まで誰も気付かなかったのも無理はない。今回コケ類を捜していたからこそ発見できたという気がする。
 北方のもので分布は朝鮮・南千島・カラフト・北海道,本州では中部地方以北の高地にやや稀に生じる。中部地方以北ならありふれているかというとそうでもなく,石川・新潟・秋田・神奈川・埼玉の各県で「レッドデータ」に指定されている。
 西日本では,奈良県大峰山・京都府青葉山・広島県比婆山の3地点だけにあることで注目されていた。図鑑類の記述に特定の山の名称が出てくるのは異例であるが,産地が本来の分布から飛び離れており,しかも局所的にしか生育していないためである。最近の情報(「レッドデータブックとっとり」)によると,鳥取県三徳山にもあるそうである。よって,隠岐の「鷲ヶ峰」は,西日本で5番目の産地ということになる。「隠岐新産」というようなレベルではない。
 他の産地が点的であることを考えると,鷲ヶ峰でもただ一ヶ所だけにしかないのかも知れない。現地は標高500m地点にある崖っぷち,危険はないのだが落ちたら命がないのであまり長居はしたくないような場所である。
 他の西日本の産地同様,非常に特殊なぎりぎりの環境条件(本種に適した)が保たれているものと思われる。事実,隠岐ではこの付近でしか見たことのないコケが少なくとも4種はある。ここへ踏み込んで,環境省指定の絶滅危惧種のコケ(確認中)を発見した時は,一帯に妖気が漂っているように感じた。

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