丹後の受信箱

樋口正信先生への研究室訪問をしてきました。(堀)

日付
2010年06月05日 17時40分
差出人
退会したユーザー
 本日、樋口先生の所に伺いました。

 チヂレゴケP.sinenseは、Ptychomitriumの中では珍しく、なんと樹幹着生種だそうです!!

 「校庭のコケ」は古木先生(苔類専門)が編集していたので、ヒダゴケについてはよく知らなかったのではないか、との事。

 それから、イワイトゴケの仲間について質問したのですが、要は同定における自分なりの基準でいいから、一つでも基準を設けて、そこから動かさない事が重要だと言われました。

 細胞の大きさについては、樋口先生も塩梅が難しいと仰っていました。

 日記で書いた例のヘチマゴケは、ケヘチマゴケに決定しました。ケヘチマゴケの無性芽には楕円形のものが混じるという記載が見つかりまして・・・

 この前丹後さんが仰っていた「世界中から全ての標本を集めて分類学的検討をしているのか」という点ですが、これについては以下のような回答が得られました。

・種類数が少ない分類群は世界中から全ての標本を集める。
・あまりにも分布範囲が広く種類数も膨大な種類については、大きな地域を決めてその範囲でとりあえず分類群を検討する。たとえば、ヨーロッパの研究者はアフリカ、日本は東南アジアとオーストラリア、北米の研究者は南米だそうです。

 タチゴケについて。
よく、小さいタチゴケを持ってきて、「これはヒメタチゴケなんじゃないか」と聞いてくる人がいるそうです。ところが大抵の場合未成熟だから小さいだけなのだそうです。結局は、雄器官と雌器官をつけたものでないと駄目だそうです。雌雄異株の判定は難しく、同じ個体でも一年目は雄器をつけて、二年目は雌器をつける事もあるそうです。群落が広がっている場合、1つの個体をどう定義するのかは、樋口先生でも難しいそうです。ただしここでポイントなのが、雌雄同株の場合は雌器の周りを取り囲むように雄器がつくという事だそうです。

ハイゴケ科について
 この仲間は多系統であり側系統群も含まれているとの事です。まだ分子系統樹をやっても上手く分かれないそうです。統計的な誤差が大きすぎて枝の分岐位置が見決定との事です。

アオギヌゴケ科について
 今ロシアの人が研究しており、昔用いられていたものの現在は消滅した属が次々と復活しているそうです。

研究生活について
 樋口先生は55歳と定年(62歳)まであと7年しかないので、もし私が樋口先生の下につけば最後の教え子となる可能性が高いそうです。しかも博士課程は留年が多いそうです。ところが、あと7年という事は、今私はまだ3年生なので院に入る時は、もうあと5年!つまり修士2年・博士3年とギリギリです。それを聞いて研究の厳しさを感じました。博士論文や修士論文だけでなく、フロラ調査をやっておくと実力が付きやすいそうです。ただしフロラ調査だけではあまり評価してもらえないという現状もあるそうです。それから、英語が非常に重要、とも言われました。それから就職の事も重要なようです。「私は教職を履修中で学芸員の科目はまだ履修していない。」と言うと、学芸員の資格よりも教職の資格を持っておいた方が良いと言われ安心しました。

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