丹後の受信箱

ハイゴケ屋

Re: Hypnum cupressiformeとNeckera sp.

日付
2006年05月29日 17時35分
差出人
ハイゴケ屋
丹後さん

 標本を拝見しました。

> 00910: 「このコケなーに?」をお騒がせした,所属の全く分からないものです。

 これは、Taxiphyllum cuspidifolium とされているものですね。石灰岩地によくでてきますが、通常、もう少し大きく(枝の長さがこの2倍ほどに)なります。これは、ものを知っていないと、図鑑の検索では、行きつかないと思います。中肋が2本で、翼細胞がわずかながら分化しますので、ハイゴケ科で間違いない!という所まではいきます。では、何属か?というと、翼細胞の形態では、PylaisiellaかHomomalliumの辺りかな?になります。しかし、胞子体の形質は異なっています。
 Taxiphyllumという属は、T. taxirameumを中心にした属ですが、それとは、ちょっと異なる2種(T. aomorienseとT.cuspidifolium)もこの属に含められています。他にやり場がなくて、ここに置いている、と私は思っています。
 本種は胞子体をつけるのは珍しいと思います。私、初めて見させてもらいました。さく柄の短さ、さくの形、フタの嘴などなど、ずいぶんと「退行」的です。しかし、内さく歯は結構しっかりしてます。おそらく、樹幹に着生していたのは、たまたまで、本種は、岩上や乾燥した土上に生育する種かと推察します。
 古い植物体の上に、緑色の小さな芽生えのようなものが点々とありますが、おそらく、矮雄かと思います。

>
> 00911: 最初は Hypnum plumaeforme のつもりでしたが,違うような気がしてきました。Hypnum oldhamii でもなく,現在宙ぶらりんのものです。

 H. oldhamiiですね。これにしかならない、という消去法ですが。
 配偶体のサイズや枝や葉の巻き具合は、確かに、H.plumaeformeかな?というものです。ただし、いい胞子体がついていますので、、
 「さく」の基部がきゅっとすぼまり(徐々にさく柄に移行するというのでなく)、さくとさく柄がはっきりと区別できるのがわかりますか?こうなるのは、H. oldhamiiとH. sakuraiしかありません。H. plumaeformeのさくは、基部が徐々に狭まってさく柄に移行します。
 では、H. oldhamiiとH. sakuraiのどちらか?となると、H. sakuraiは、葉が、茎葉も枝葉も、こんなにも、細長くには尖りません。実は、この2種の違いはあまりクリアではありません。私は、乾燥地(H. oldhamii)と湿潤地(H. sakurai)への適応形態の違いかな?と考えています。

>
> 00407: これは,Hypnum cupressiforme と思っています。

  はい、私もそう思います。日当たりのいいところでは、こういう色になります。
  それから、これは、どうも、雄の群落のようです。雄のつぼみが付いていました。雄の植物体は、雌植物体よりもやや小さく、枝が不規則なことが多いです。

>
> 00398: Neckera pusilla と最初に同定したものです。
>
> 00431: 「このコケなーに?」で色々お聞きして,今では Neckera pusilla であろうと思っています。

  この2点は、Neckera pusillaです。
  398の方は、やや小型ですね。
  431は、いい胞子体をつけています。細くて短い外さく歯が付いているのがよくわかりました。
  つやとか色合いは、生育場所によって異なりますので、参考程度にした方がいいと思います。いろいろ見て、慣れてくると、その種に特有の、つやや色合いがわかるようになると思いますが、表現が難しいです。
  N. goughianaは、葉の付き方が、もっと強く平坦になります。

  いずれもとてもいい標本で、ありがたく、いただいておきます。ハイゴケ科の研究などに使用させていただきます。
  取急ぎ

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