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丹後の日記

ハイツボミゴケ Jungermannia infusca var. ovalifolia編集する
2008年11月17日17:27全体に公開
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渓流内に転がり出た巨岩に一面に貼り付いていた。乾いた岩の上面を皮膜のようにぴったり被い,爪で剥がすのが大変だった。生えている場所も姿もオオホウキゴケ J. infusca var. infusca とは明らかに異なる。花被の形ははっきり違うが,最初見たときはエゾツボミゴケ J. atrovirens かと思った(暗緑色・小さい・岩に密着)。本種は微妙そうなので今まで無視してきたが,そうでもないかも知れない。この機会にオオホウキゴケとの相違点を整理しておきたい。

(1) 色はくすんだ暗い緑(glaucous green)で,乾いていたためか黒く見えた。
(2) 茎の長さ 5mm前後でとにかく小さい。大きいもので 8mmほど(less than 1cm)。
(3) ペリギニウムが花被の 1/2以下で短い。母種 Var. infusca は花被と同長かそれ以上。
(4) 油体は球が主体で,細胞内を埋め尽くす感じがあまりない。油体表面も比較的明るい。
(5) トリゴンが小さい。大きくふくらんだ(bulging)ものは見当たらない。
(6) 仮根は濃い紫色。Var. infusca は淡い。
(7) 葉の形は卵形〜円形に近く,舌状に長くなることはない。
(8) 雌苞葉(bract)が 1対。Var. infusca は普通 2対(2対目が足部より上から出る)。

母種オオホウキゴケの変異の多さには驚く(いくらでもあるからいいようなものの)。「更にその変種となると・・・」と今までは敬遠して忘れてしまっていた。本日,オオホウキゴケの「矮性型(dwarf,小人)」という表現で記憶した。今後観察を続けて確実なものにしたい。好きな時に何度でも見に行けることは,調査を地元に限っている利点である。自宅の庭で全種を栽培している感じに近い。


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 山坂に 爪立ち憩ふ 紅葉かな         松本たかし
 紅葉照る いのちあかるし 束の間の      細見綾子
 夕しぐれ 見返る山の もみぢ哉         正岡子規


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