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丹後の日記

チャボホウオウゴケ 2 Fissidens tosaensis編集する
2008年11月15日18:52全体に公開
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小型で葉の全周に舷があるタイプの Fissidens,エゾホウオウゴケ F. bryoides var. bryoides,ツクシホウオウゴケ F. bryoides var. lateralis を含め都合 3種を採集した積りだが確実感があまりない。過去の標本をもう一度調べてみた。

いったんはチャボホウオウゴケに間違いなしとした標本なのに,今回はツクシホウオウゴケのような気がして来て弱り果てた。よく似ていてしばしば混同されているそうである。以下が疑問点。
 (1) 〔朔〕が曲がるという著しい特徴が明瞭ではない。
 (2) 〔朔〕柄の長さがせいぜい 3.5mm程度で少し短い。
 (3) 茎の長さが 7mmを越えるものがあって大き過ぎる(茎頂の葉を含めない)。
 (4) 楕円状や卵状の披針形になる葉がみられない。
 (5) 湿った岩の上に直接ついていて,土上ではない。
 (6) 〔朔〕柄は茎の上半部から出てしばしば茎頂にもつく。基部から出るものがない。

しかもツクシホウオウゴケに矛盾する形質が見付からない。ただこれらの種は生育状態による変化が大きく,これだけで否定することもできない。この標本のままで何か決定的な区別点はないかと,両種の記載と図版(Z. Iwatsuki & T. Suzuki 1982)を細かく比較してみた。

〔朔〕壁の表皮細胞の形にはっきりした違いがあることに気付いた。上部で方形,下部では長い矩形になる傾向があるので,壺(Urn)の中間部で判断する。
 ・ ツクシホウオウゴケ: はっきり縦に長く,縦が横の 2〜3倍のものが多い。中央値で 35×
  11μm。また,縦方向の細胞膜が横方向に比べやや肥厚する。
 ・ チャボホウオウゴケ: 正方形に近いものが非常に多く,長くてもせいぜい縦は横の 2倍
  程度(稀に交じる極端形は無視)。中央値で 18×12μm。薄膜で細胞に円みを感じる。


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