昨日の採集は，疲れてきたので途中で引き返すことに決めた。急に時間が浮いてお茶にしたり煙草を吸ったり，その辺でうろうろだらだと過ごした（昼寝はしない）。どうもそれが良かったらしい。前回のモミゴケも本種も，収穫がないので仕方なく無理に（飛びついてはいない）採ったようなものだ。 しかしこの時採集していなかったら，今度は何時になったことか。いつも，「時間はいくらでもある」という気持ちでいないと駄目だと思っているが，隣の島なので帰りの船の時間が気になる。
Ctenidium は難しいが，本種は�殃疏澗里縫僖團蕕�あって分かり易い（日本産1種）。ただし，パピラは明瞭ではあるが細かく×15のルーペでの確認は少々厳しい。クシノハゴケ C. capillifolium のように「葉の先が毛状になりよれて光る」感じが少なく，全体がやや小さく（枝も葉も）繊細。これが採集の動機だった。種小名 pulchellum は「可愛らしい」という意味のようだ。小さいという含意がある。
両種の他の違いとしては，葉身細胞の長さが分かり易い。C. capillifolium は代表値で70μくらいであるが，本種は短く40μ程度。しかも細胞の上隅がしばしば強く光る。なお，本種の葉身細胞を見ているつもりで，C. capillifolium によく似た別の蘚（？）の細胞を測っていた（大きさも75μ前後）。混じっていたのか？再度やり直してぴったり合ったが，一時は訳が分からなくなった（�殃舛離僖團蕕般圭癲法�
日本固有種で，本州の日本海側（多雪地帯）の山地に産するという。西村先生の論文（A revision of the genus Ctenidium, 1985）の，引用標本のリストに『Shimane-ken, Oki I., Washigamine, Ando 26879』というのが出てきた。「鷲ヶ峰」はよく歩いているが，Ctenidium の記憶があまりない。あるいは今回の採集と同一地点のものかも知れない。そう言えば，「広島大学の学生達がコケの採集に来た」と，植物の恩師に昔聞いたことがある。
ついでに，採集済みの種について「広島大学所蔵コケ標本データベース」を検索してみた。C. capillifolium : 87点, C. percrassum : 5点, C. hastile : 4点, C. pulchellum : 0点.
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田になにも なくてすとんと 秋日かな 矢島渚男
谿（たに）ふかく 秋日のあたる 家ひとつ 石橋辰之助
鶏頭に しみつく秋の 入日かな 吾仲
