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丹後の日記

ニセテングサゴケ Riccardia vitrea Furuki編集する
2008年09月25日16:19全体に公開
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フタマタゴケ目は不勉強で科・属の把握がきちんとできていない。本品がそもそもスジゴケ属 Riccardia でよいかどうかもはっきりしない。そうは言っても,可能性のありそうな他の科はないように思う。そして,属が合っているとすればこの種になるはずだ。

その最大の理由は(検索表に加え),油体が Riccardia らしくなく,むしろミドリゼニゴケ属 Aneura によく似ていることである。 Riccardia の油体は通常,赤褐色の微粒からなる大きなかたまりで,真っ黒に見えるほど暗く,普通の油体のイメージとはかけ離れたものである。数もせいぜい5個程度までと少ない。少数の例外種はあるのだが,それらは著しい特徴があってすぐに分かる。

採集品の油体は,・半透明の緑色,・球状で小さく(3-8μ),・数も 0-10個と比較的多い。Riccardia の油体とは全く感じの異なるものだ。更に,葉状体の幅が一回り広く,裂片(最終羽片)の発達も悪く(長く伸び出さない),あまり Riccardia 的ではない。外部形態まで Aneura 寄りを思わせるところが面白い。

本種は1991年に新種記載されたもので,普通種なのか珍しいのかよく分からない。タイプは広島県,パラタイプに静岡・広島・愛媛・熊本・屋久島の標本が挙げられている。環境をみると低地の道路際のものが多く,自分の採集も農家近くの同一環境だった。今まで何例かで経験したが,田畑の周辺にあったからといって,「ありふれた普通種」と決まるわけではない。


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 身のまはりは草だらけ みんな咲いてる      種田山頭火
 やすらかや どの花となく 草の花         森 澄雄
 草花に 只(ただ)日の当る 田舎かな       渡辺水巴


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