新しいものを見付けたつもりで持ち帰ってみたら，実は採集・同定の済んだ既知の種だった。顕花植物では考えられないが，コケの場合はよく起る。今回も見事にだまされた。いずれも2回目の出会いに過ぎず経験不足。

　(1) ラセンゴケ　低い山の池の中，岩の垂直面に逆さまに垂れ下がって生えていた。通常葉の部分が2cm，上部で枝を分け，その先が細い糸のように（鞭状）3cm以上伸びる。細い糸がまた枝を分け簾のように見えた。通常のラセンゴケとは似ても似つかない姿である。

　(2) アサイトゴケ　初めて採集した場所は，暗い沢の陰湿な岩上で，暗緑色の小群落だった。今回はがんがん陽の当る小川で，流れの中の複数の小石をぎっしり覆っていた。色は明るい黄緑で，褐色に紅葉したようなのもある。環境の違いと，沢山あり過ぎたために，別のものに見えたようだ。

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　山椿　咲いて真つ赤な　樹となりぬ　　　　加瀬美代子
　藪椿　唇（くち）をひらけば　唇やさし　　　柿本多映
　暮れ頃を　居れば椿も　暮れにけり　　　　八木林之助