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丹後の日記

ホウキゴケ Jungermannia comata編集する
2008年09月10日12:50全体に公開
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「検索表」でよく通る経路にあるし,「図」で見る・葉形と・細胞表面も他種とははっきり感じが異なる。見たこともないのに,この種のイメージはずっと頭に焼き付いていた。やっと見付けたかという思いが強い。

低山地の道端,オオホウキゴケ J. infusca の大群落に少量混生していた。少し水気の強い部分,葉縁が波打っているような感じがあったので,ハネツボミゴケ J. plagiochilacea の積もりで持ち帰った。J. infusca に非常によく似ていて少し不安もあるが,下記の点を根拠にした。(3) が頼みの綱である。
 (1) ペリギニウムは花被の,1/2以下で小さい。
 (2) 花被は3稜が目立つ。
 (3) 細胞表面には楕円形のベルカが一面に見える。葉の外縁で細胞膜の半球形の隆起がはっきり確認できる。

以下のような多少の不満が残ったが,今回は標本が十分ではないし(2,3本)変異だってあるだろうから・・・と思う。
 (1) 葉の形が,「舌形で矩形」という特徴的な形に見えない(その程度が弱い)。
 (2) ベルカがちっとも「著しく」はない。明瞭ではあるのだが,うっかりすると見落とすくらい薄い影の模様。

なお,過去の J. infusca の観察記録に,「別タイプのベルカ発見!長円形のふくらみで葉縁を見ると存在が分かる。」とあった(赤字で強調)。既に本種に出会ったことがあるわけだ。苦笑+安堵!

図鑑では分布が「本州(静岡県以南)〜琉球;・・・」となっているので,隠岐は北限自生地かもしれない。最近は東海・関東の記録もあるような気がするが,分布上貴重であることは間違いない。

恐怖の Jungermannia もこれで隠岐産 12種。当初の予想以上に多くなったが,「捜せばあるものだな〜」と思う。あと2,3種見付かれば一つの県のレベルになる。

《追記》
J. infusca の葉身細胞の表面には「時にごく弱いベルカがある」ことになっている。このベルカがどんなものか具体的に書いたものを見たことがないが,ひょっとしたら今回の観察はその一例かも知れない。そんな気がしてきた。


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 露草の また咲く頃と なりにけり      網野 菊
 露草の 藍に盛りの ありしかな       赤井春美
 露草を 面影にして 恋ふるかな      高濱虚子

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