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丹後の日記

ヒロハフサゴケ Brachythecium salebrosum編集する
2008年08月09日16:45全体に公開
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この種がどういうものか分からないのだが,名前がないと標本の管理が厄介なので取りあえずこの名にしておく。

低山地の林内,道路際の土が崩れて裸出した場所,日が差し込んでコスギゴケ Pogonatum inflexum が一面にはびこっていた。一株しかなかったのだが,「茎や枝の先が細く長く(2〜4cm)糸状に伸び出して」いるのが目に止まった。

オカムラゴケがよくこんな風になる。ハネヒツジゴケ B. plumosum もこんな形になることがあるので,それに違いないと思って採集した。しかし考えてみると環境が違う。ハネヒツジゴケが乾いた裸の土に生えるとは思えない。事実,顕微鏡で見たら翼部の細胞の広がり方がはっきり異なっていた。本品は細胞の分化が両翼に限定されているが,ハネヒツジゴケの方は中肋の方まで連続的に広がり,分化した細胞が葉基部全域に見える。

葉身細胞が大きく幅広い 50-75×5-7.5μm ような気がしたので,Brachythecium の種をすべてチェックしてみた(一覧表を作ってある)。B. salebrosum : 65-85×5-7 と B. glareosum : 60-75×6-8 (ツブテゴケ)の2種だけが該当する。ツブテゴケは,葉に深い縦皺ができるようだし,幅も広く(3.0×1.2mm),尖り方もやや急で異なる。

平凡社版の検索表をたどってみても,何とか本種に辿り着く。
 D.茎葉の先は毛状にならない。
 G.〔朔〕柄は平滑。・・・胞子体はないが ヒロハノフサゴケ B. rutabulum ではなさそう。
 H.茎葉はふつう長さ2mm以上で多少縦じわがある。葉身中部の細胞は長さ60-100μm。
 I.植物体は小形〜中形。茎葉の縦じわは弱く,翼部は狭く,区画は不明瞭。枝葉は卵形ではない。
 J.葉身細胞は長さ85-100μmではない。

しかし確実感はまるでない。気になる点は・・・
 (1) コスギゴケと同じ環境に出ることがあるか?
 (2) 茎や枝が鞭枝状に長く伸びることがあるか?
 (3) 茎葉が‘卵状’披針形ではない。長三角形状で細く,枝葉と区別がつかない。あるいは,枝葉しか観察できてないのか・・・。


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