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丹後の日記

ニセヤハズゴケ Pallavicinia levieri編集する
2008年07月08日15:15全体に公開
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クモノスゴケ P. subciliata はよく目にするが,雄花を見たことはなかった。これも,葉状苔の何の仲間だか分からないまま採集した。葉の中肋上に径 0.3mmくらいの虫の卵のようなものが山盛りに並んでいる。先がギザギザした仕切り(被い)のようなものを伴っているが,‘雄包膜’というらしい。

中肋部が腹面へ高く隆起し,翼部は広くて単細胞層であるので科は間違いない。1本の明瞭な中心束(小さい厚膜細胞からなりやや色づく)もある。透明な微粒(〜ブドウ房)からなる長い紡錘体(〜米粒)の油体が 10個前後見られるのも,クモノスゴケ科の証拠のようだ。

平凡社の図鑑のわずか数行の記述しか本種の情報はないのだが,・雄包膜の先端が鋸歯状,・雄包膜は中肋上に‘多列’に並ぶ,の 2点で種名は確定できる。P. subciliata の方は,「中肋に沿って 1列(両側で 2列)に並び」,団子状に固まったりしない。

ただ,秋山弘之氏のサイト『コケとキノコの雑記帳』にある,「葉状体の中肋がはっきりしない。」という部分にはかなり困った。目視での印象のことだろうか。
http://bryologist.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_8b14.html

なお,『横浜市円海緑地の蘚苔類 (Eiko Kawasumi 2005)』によると,「熱帯アジアを中心に八重山諸島,本州では主として中国地方,四国に分布し,東日本では静岡県伊豆と千葉県清澄山に確認されている(古木・中村 1991)。今回の発見で横浜市が本種分布の北限となる。」となっており,分布的には興味深い(隠岐の方が北)。

それにしても,雄花がないときはどうやって P. subciliata と見分ければよいのだろうか。「葉状体は不透明な緑色,翼部は左右非対称になりやすい」ということだが,実感的には意味が分からない。「分かる」までにはもう少し時間がかかりそうだ。


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 葛の葉の 上を風吹く 暑さかな         星野立子
 顕微鏡の ピントの合わぬ 暑さかな       木村聡
 暑ければ 暑いと言ひて 生きてゐる      高橋とも子


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