ツノゴケ類の採集・同定は快調であったのだが,ここに来て袋小路にはまり 4,5日右往左往。ついには論文の記載を疑ったりもした。途中から何度も混生を疑ったが,本気ではなかったのか確認が不十分だった。複数の標本を同時進行で観察していたことも混乱の原因。一つずつけりをつけて進むべきだった。
胞子体はニワツノゴケ Phaeoceros carolinianus ,葉状体はミヤベツノゴケ Folioceros fuciformis を観察していた。いつまで経っても同定できるわけがない。いよいよ「論理的にはあり得ない(こんな種は日本には存在しない)」ことに気付いたので,1個の葉状体とそこから出ている胞子体 1個のみを調べて解決できた。それぞれが記載通りの典型的な姿であった。疲れ果ててしまって気分はよくないが,「ツノゴケ」について色々詳しくはなった。例えば,葉状体を切るときは厚めがいい,胞子表面の突起は細かく観察するに足る分類形質である,など。
ツノゴケ類の場合胞子体も葉状体も互いによく似ていて,目で見ただけでは違いがはっきりしないことが多い。地獄に落ちたくなければ,葉状体と胞子体を決して分離しないこと。今までは,葉状体のよさそうなの(形の整った)と,胞子体のよさそうなの(熟して割れた)を,適当に合成して見ていた。
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薔薇咲きし 朝のルージュを 少し濃く 大場美夜子
湧き起る 楽の如くに 薔薇揺るる 西村和子
薔薇咲かせ 牧羊神の 真昼どき 原田青児