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丹後の日記

キヌイトゴケ Anomodon longifolius編集する
2008年05月09日13:11全体に公開
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乾いた状態でぎっしり固まってカツラの樹幹に生えていた。あまりシトネゴケ目のようには見えない。葉はゆるく茎に接着して丸い紐状,上部の葉はやや鎌曲がりする。色はくすんだような淡い黄緑でパッとしない。オオギボウシゴケモドキ A. giraldii の小さいの(新芽)じゃないか?と思った。

「別にどうでもいい」というような気乗りのしない採集だった。しかし,家に帰って濡らしてみたら細長く尖った葉がスッと開いて,未知の種であることがすぐに分かった。危ないところであった。無視していたら今度いつ出会うか分かったものではない。考えてみると現地は標高 400m近くの沢で,隠岐では例の少ない貴重な場所である。もっと丁寧に観察すべきであった。しかも本種は,関東以西ではあまり多くない種のようである。

主茎は基物を這い,そこから 1,2cmの枝(二次茎)が沢山立ち上がる。枝の上部で更に短い枝を分けやや樹状に見える。葉身は卵状の基部からやや急に細くなり長く伸びて尖る。この長い形だけでも同定可能であるが,葉縁が部分的に大きく反曲するのも特徴的。パピラは円錐形の尖ったのが 1個ずつ表裏ともに見られる。このパピラは明瞭ではあるが変化が多く,部分的に「全く無かったり,小さいのが 2,3個」の個所もある。

この属の DNAなのか葉が左右一方に多少曲がるのは面白い。中肋は強いのが先端近くまで到達するが,直前で突然消え先端部は平たくなって伸びる。葉基部中肋近くの細胞ははっきり厚壁,翼部では横長の小さい矩形になるのに気付いたが,これはある程度属共通の性質と思われる。

思い返すと,乾いた姿での第一感オオギボウシゴケモドキは必ずしも間違いではなかったことになる。「脳」というものは不思議だ。分析的に見てしまうとそんなに似てないはずなのだが。

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 奢(おご)るなき 色にすかんぽ 花ざかり     桔梗きちかう
 山鳩が啼き すかんぽの 伸びし道         若木一朗
 すかんぽに 見ゆるレールは 伯備線       菅原独去

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