隠岐の最高峰(600m)の頂上北東斜面,転石がゴロゴロで落葉樹の疎林になっている。林床は一面に苔むしていて,水もないのにコフサゴケが多くキヨスミイトゴケも見られるような場所。辺り一帯が同じような環境なので,一部を見れば他も同じことと馬鹿にしていたがそうではなかった。いつもより数メートルずれた場所を這っていたら,いきなり出くわした。なかなかの迫力である。何故突然群生が始まるのか分からないが,何か環境条件の差があるのであろう。全然そうは見えないのだが。
フロウソウ C. dendroides の時に苦労していたので,同定は簡単過ぎてあまり面白くなかった。ただ,判断に迷うような場合もあるようで,"MOSS FLORA" では相違点が 8ヶ条挙げてある。わざわざ 8つも列挙してあるのは, 1つとして決定的なものがないためかも知れない。「フロウソウは地下茎が短くて二次茎が株立ちする傾向が強く,コウヤノマンネングサは地下茎が長く,二次茎がお互いに離れて出る。」という解説を読んだことがあるが,手元の標本ではまさにそのようになっていた。
取りあえずの自家用の基準を以下のようにしておくことにする。
乾いた状態の枝を目で見たとき,
・ 本種は,枝に葉が貼り付いて細く丸い紐状に見え,枝の先端が鋭く尖る。
・ フロウソウは,葉が多少開いたままで(斜開),紐には見えない。
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谷深く 芽吹の色を 重ねけり 高田正子
木々芽吹く 人に個性の ある如く 酒井すず
芽吹きたる ものにふれゆく からだごと 石田郷子
日記の日付(4/17)に,そうだったのかと思いました。今は山のサクラを訪ね回っています。