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丹後の日記

キブリツボミゴケ Jungermannia virgata編集する
2008年03月19日14:01全体に公開
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採集していない種について書くのは初めて。実際はヒトスジツボミゴケ J. unispiris なのに,一時は本種だと思い込んでいた。危なくそのまま通過,「同定終り」となるところだった。

T. Amakawa (1960) の検索表では,(1) 葉が茎につく角度,(2) 付着線の長さ,(3) 展開の仕方(平面的か斜めか)で両者を分けるようになっている。直感的なイメージをつかむのにはよいのだが,同定の為にはやや曖昧な点がある。もちろん弾糸を見れば一瞬で解決するが〔朔〕が裂開していない(乾燥すれば裂開するか?)。

そこで油体を見てみることにしたのだが,顕微鏡を覗いて仰天,思わず声が出そうになった。四角いようなゴツゴツした油体があるとは思わなかった。氷砂糖(あるいはそれを砕いた)のような印象で,内部は均質でも微粒状でもなく,透明な中に不定な影が見える。これだ!ということで前記の文献にある油体の写真を捜すと,案の定 J. virgata として載っていた(しかも油体数は 1-2個)。

形態にやや違和感があったし,油体 1(2)個が多数でちょっと困ったが(J. virgata は 2-4個),『本種の油体は特異でこんなものは他にはない(チャツボミゴケ J. vulcanicola を除き)』,とちゃんと書いてある(J. unispiris の形には触れてない)。油体の数の不一致は何か生理的な条件が原因だろうと思ってしまった。

実は両種が非常に近縁で,油体の形も同じである(大きさには多少差がある)ことが解ったのはその後の研究成果のようである。自分で J. unispiris を初めて同定したときのメモを見たら「油体はゴツゴツ角張った球形(10-15μm)」と書いているのだが全く記憶に残っていない。今回のように驚かなかったのは何故なのか。新鮮な葉を見ていて,球状に近いものが多く,今度ほど形や大きさがでたらめではなかったのであろう。それにしても四角な油体は強烈だ。


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 三椏の 花に光陰 流れ出す       森 澄雄
 三椏や 皆首垂れて 花盛り       前田普羅
 三椏の たかぶりもなく 花盛り      田村恭子

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丹後

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