一日中陽の当たる墓地,コンクリートブロックの囲いの上を一面に覆っていた。およそコケの生えるような環境ではない。乾燥には猛烈に強い種なのではないか。
ハマキゴケ H. propagulifera とは少し感じが違うような気がして(小さい)以前に一度調べたことがあったのだが,その時はハマキゴケだった。やはり気になるので今回またルーペで覗いたら,大きな金平糖状の無性芽が見えた。一部にやや丈の高い部分があってそこだけがハマキゴケの混生だった。
本種の無性芽は,刺の長い金平糖状(echinate)で 0.2-0.3mmと大きい。一方ハマキゴケの無性芽は±70μmと小さく(多細胞の手榴弾状)ルーペではゴミのようにしか見えない。無性芽があれば両種の違いは明瞭だが,それ以外の差についてはよく分からない。図鑑の検索表に「葉先の 1/3 - 1/2 の葉縁に鋸歯があり,・・・」となっているが,そのようなことはなかった。
今まで随分捜したがやっと見付けた。産地の報告も少ないし,あまり普通なものではないかも知れない。しかし,ハマキゴケと思われて見逃されている可能性も大きい。とにかく,「そんなものがある」と知っていないと発見が難しい種だと思う。
---------------------------------
犬ふぐり はりつきて咲く 地べたかな 細見綾子
午過(ひるすぎ)の 花閉ぢかかる 犬ふぐり 松本たかし
犬ふぐり 素直な心 誰も持つ 阿部みどり女
山口(秋芳洞),広島(帝釈峡),それぞれ 1点ずつということと,その産地に驚いたのですが,市街地(舗装路)での記録(埼玉)もあります。岡山にもあるのではないでしょうか。
帰化種のコモチネジレゴケも街路樹のサヤゴケやヒナノハイゴケに良く混じって生えています。案外、見慣れたものの中が怪しいですね。
あまり報告の無い種だったのですね。
市街地から渓谷まで生えることが出来る種なら、普通に見られそうですが、手当たり次第に採取してもpropaguliferaばかりでした。
群落の厚い部分が成熟していて標本として良いと思っていたので、今度からは薄い部分を採取してみます。
仰る通りです!
チュウゴクネジクチゴケに最近気が付きました。道路上に大量にあるんですが・・・。ナガバヒョウタンゴケは踏んで歩いてました。
コモチネジレゴケは田舎では無理かもしれません。ヒナノハイゴケは全くありません。空気の汚染度が足りないのだと思います。
》 Hookeria!! さん
ギザギザで毬栗状の無性芽がルーペではっきり見えます。私も今まではずっと外れでした。
ただ,人里に普通種らしくあるものが実は希産種,という例は何度か経験しています。カタハマキゴケはどちらなんでしょうか。