以前(
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=603872081&owner_id=2651499 ),ホソハリガネゴケ B. caespiticium ではないかとしていたものも本種だった。
・葉が細長く,・中肋が針状に伸び出す,・無性芽がない,ことから別種と考えたが,下部に付いていた幅が広くて中肋の突出も極端ではない古い葉に気付いた。更に,数百メートル離れた地点でやはり細い葉だが胞子体と無性芽をつけたものを採集した。この辺(別の島)のは,葉が細長く中肋の突出が甚だしい型のようだ。
自宅の裏にあったものは,ほとんど円に近いような印象の葉だが,これも今回無性芽が見付かって同一物だと分かった。どうも葉形や中肋の突出程度は容易に変化する。欧米の図鑑に書いてある通りである。
なお,B. mayebarae は B. radiculosum のシノニムとされることがあるが,B. radiculosum (= B. erythrocarpum) complex は,仮根に円盤状の無性芽(tuber)が常にあり(constantly present),葉腋にはできない(never axillary),という事実に矛盾する。
Bryum bicolor (= B. dichotomum) complex (クロハリガネゴケ)に非常に近いのだが,葉身細胞の長さが 30-50μmしかなく 65-85μmとは違いすぎる。葉腋の無性芽も形は似ているがあまりにも大きい。間毛(cilia)は枝を出す(appendiculate)のもあるが,こぶ(節)ができる程度(nodulose)のが主体であることも(そう思う) B. mayebarae 的である。
原記載が無性芽に触れてないらしいのは気になるが,日本(あるいは東アジア)固有のマエバラマゴケでよいのではないか?
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温みある 日のこまやかに 犬ふぐり 竹田一香女
犬ふぐり みな上向いて 咲きにけり 川上明女
はろかなる もの皆小さし 犬ふぐり 青木重行