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丹後の日記

カンハタケゴケ Riccia nipponica編集する
2008年02月02日18:48全体に公開
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寒そうな名前で時期に丁度合っている。晩秋〜冬にだけ見られるというので「ぴったり」と思ったのだが,調べたら他にも似たようなものがあった。ハタケゴケ R. grauca,コハタケゴケ R. huebeneriana,ミヤケハタケゴケ R. miyakeana,ミドリハタケゴケ R. sorocarpa。何だか混乱しそうである。

実は,イチョウウキゴケ Ricciocarpos natans の様子を見に水田に行ったのだが,既に無くなっていて代わりに本種があった(少し湿った場所)。イチョウウキゴケの陸生型と思ったのだがそうではなかった。背面に溝状の条がなく,腹鱗片もない。まだ 10年くらい前まではプカプカ浮かんでいるのを何ヶ所か見ていた。シダ類ではなかったので多分イチョウウキゴケであろう。農薬のせいで無くなったとよく言われるが,そうではなく耕作放棄(藪化)や圃場整備事業による乾田化の影響だと思う。「田圃は乾かして作れ」という稲作思想の変化も大きい。

検索表は「気室」の有無から始まるが,切片を作るのが難しくはっきりしなかった。次の手掛かりは「葉状体の幅」であるが,何処を測ればよいかはっきりしない。しかも,十分成長していない個体だったら間違いの元になる。「葉状体の背面に 1-2細胞からなる突起がある」に頼ることにした。表面に透き通った球形の玉がぎっしり並んでデコボコになっている。そしてガラスのようにキラキラ光って賑やかな感じがする。乾いてくると白っぽく変わるのは,玉のような細胞の中身(水分)がなくなるのだろう。

決定的なのは,「胞子表面の網目模様の数が直径(大円)に沿って 4個(稀に 3 or 5)」という点である。この事実で他の種からはっきり分離できる。ウキゴケ R. fluitans が 4-5となっているが,葉状体の形がまるで異なる。「網目の中心の短突起」,これは×400では確認が難しい。胞子の周りに帽子のツバのような翼が出るのも面白いが,本種はこれが幅広く明瞭である。なお,胞子は黒い球塊となって葉状体内部に埋まっており,表面からその様子がうっすらと影絵のように見える。

採集用のメモ。合っていればよいが・・・。
カンハタケゴケ ・・・ 淡い黄緑色。背面の条はほとんど感じられない。裂片は“丸く幅広い”。
ハタケゴケ ・・・ 裂片の幅が狭く長め,背面中央に溝状の“幅広い条”あり。葉先で明らか。
コハタケゴケ ・・・ 葉状体は狭く(半分)線状。“二叉状に枝”分かれして全然印象が異なる。
ミヤケハタケゴケ ・・・ やや光沢があり,背面の細い“条がはっきり”見える。
ミドリハタケゴケ ・・・ 更に小さく“濃い緑”色。裂片は尖り気味。


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 節分や 三味線草の 花幽(かす)か         佐藤惣之助
 節分や 菜の花すでに 黄を点ず          久保田万太郎
 日あたりて 春まぢかなり 駅の土堤(どて)     山口誓子

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