以前トサカゴケとして日記に書いたものは別の種である。今回真のトサカゴケと思われるものを採集して間違いに気付いた。検索表にある「雄苞葉は花被の直下につく」という意味も初めて理解できた。つまり,“雌雄列立同株(paroicous)”。そして“常にそうである”ことが本種を特徴づける性質だそうである(H. Inoue 1959)。
前回の標本を再度調べたら,雌花の直下に雄苞葉(葉の基部がぷくっとふくらむ)は全くなかった。むしろ雄花序だけからなる細い枝があちこちに出ていた。間違った原因の一つは,雄苞葉がどういうものか分からず軽視したためである。そう言えば,茎葉体苔の雄花序についてのまともな説明を,今まで読んだことがない。どこかにあるんだろうか?
間違いだった種がそれでは何なのかはまだ未解決。というか,今日も寒くておちおち顕微鏡を覗いていられない。しかし,本属もまた容易ではないということは身に沁みた。幸い場所ははっきりしているしアクセスも容易なので,また一つよい問題を得たとは思う。問題の多すぎる日常は憂鬱なものだが,なさ過ぎるのも結構困る。
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青木の実 のみこんで鵯(ひよ) 首かしげ 辻田鶴子
雪積みて 八ッ手やゝ伏し 鵯去りぬ 渡辺水巴
鵯(ひよどり)の それきり啼かず 雪の暮 臼田亜浪