[mixi] ヨコスカイチイゴケ　Vesicularia flaccida

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丹後の日記

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ヨコスカイチイゴケ　Vesicularia flaccida編集する: 2008年01月08日21:00; 3 view

シトネゴケ目で中肋は短く２叉，翼部は全く発達せず，葉身細胞の幅が12μm以上と広い。こんなものはフクロハイゴケ属 Vesicularia しかないであろう。ただしサナダゴケ科でないことを確かめる必要はある。とにかく，薄壁で整った形の巨大な葉身細胞（100-130×12-15μm）が印象的である。もちろん（？），計測位置や葉によって多少の差が出ることはある。中には長さ 200μmに達する細胞もあって驚かされた。

葉は柔らかくて薄く卵状披針形，漸尖して長く尖りやや毛尖状に見える。背腹の葉と側葉との形がやや異なり，側葉はかすかに非対称である。中肋は極めて弱く，特に2叉することは分かりにくい。

本種はコケを始めて間もない頃，一度だけほんの少量採集したことがあった。場所は，変わったコケの出る空中湿度の高い地点で，フトリュウビゴケの集団の中に埋もれていた。その標本は蒴の長さが 2mm！を越えていたので疑問符付きの同定になっている（蒴が小さいのはこの属の特徴）。今度は蒴の大きさを確かめる必要がある（今，胞子体が頭を出したところ）。

それ以後気になってずっと捜していたのだが，まさか自宅の庭にあったとは。我が家は畑の中にポツンと一軒あるが，南向きの斜面高台でコケの好むような環境ではない。しかも何時も行き来している通り道で，ちょっと信じられない気持ちだ。どうせアオギヌゴケ科の何かだろうと思ったが，名前が出てこないので調べる気になった。全然気乗りはしなかったが暇だったことが幸いした。

どうも野外ではやすやすと見逃しそうに思える。普通種の新芽のようでちっとも特別には見えない。手に取ってルーペで覗けば何とかなるだろうが（コカヤゴケに多少感じが似る），手に取るかどうかが問題である。もっとも，胞子体があれば，蒴柄がくしゃくしゃとねじれるので気付きやすい。

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　龍の玉に　日のさしてゐる　短き日　　　　　　　山口青邨
　枯れ果てし　真菰の水や　日短か　　　　　　　高野素十
　短日の　かゝるところに　ふとをりて　　　　　　　清崎敏郎