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丹後の日記

イワイトゴケ Haplohymenium triste編集する
2007年10月28日12:36全体に公開
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隠岐最高峰の山頂(607m alt.)で樹幹についているのを,一度だけ採集したことがある。そのため漠然と「山地にあって少ないもの」という印象を持っていた。今回の採集場所は幹線道路(田舎だが)のコンクリート擁壁である。普通の植物では考えられないが,コケではこういうことを何度か経験した。

コバノイトゴケ H. pseudo-triste,イワイトゴケモドキ H. sieboldii,ナガスジイトゴケ H. longinerve を含めた 4種のうち,「道路際に出てこない」のは H. longinerve だけのような気がしてきた。本属には他に石灰岩地の稀産種ムチエダイトゴケ H. flagelliforme があるが,これは一生出会えそうにないので考えないことにする。

H. siebodii,H. longinerve の 2種は葉先が鋭頭になって分かりやすいが,普通種 H. pseudo-triste との区別は,簡単なようで曖昧である。大きさ以外の差異はないようで,葉の形や中肋の長さはあまり当てにならない。もっとも,大きさの違いはかなりのものだし,「葉のこぼれやすさ」という面白い相違点もある。本種は葉がもろく,はがそうとするとポロポロ落ちる。葉先が取れて坊主のような枝が見られることもある。H. pseudo-triste も多少はもろいがこれほどのことはない。

以下は実測値の一例である。葉身の幅が分かりやすい。
H. triste
 葉: 長さは普通 0.7-0.8mm,幅は 0.3-0.35mm。 葉身細胞長径: 10μ以上。
H. pseudo-triste
 葉: 長さは 0.5(0.6)mm,幅は 0.25mmまで。 葉身細胞長径: 7μ未満。

<追記>
どうも,H. pseudo-triste には,円頭型と鋭(鈍)頭型の 2型があるようだ。鋭頭型だとむしろ H. sieboldii との識別が問題になる。


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 咲き古りし くさぎの花や 秋の風           * 柳之
 階(かい)下りし スカートに入る 秋の風      金子酒音留
 昂(たか)ぶれる 人見て悲し 秋の風        高濱虚子


コメント

  • 退会したユーザー

    退会したユーザー2010年04月06日 17:43 削除
    やはり葉身細胞の大きさが鍵だと思います。
  • 丹後

    丹後2010年04月07日 12:31 削除
    その種の初の同定の時は,やはり計量的な形質(数値)が一番安心できます。でも慣れてくると不満が出ます。「測ってみなければ分からない」というのではやはり情けない。

丹後

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