きっとあるはずと探していたのだが,予想していたよりはるかに小さなものだった(高さ±6mm)。既に知っているか,あるいは大きな群生でもないと,これではちょっと気付きにくい。よく行く近くの神社の庭で,一面のクサゴケ Callicadium haldanianum の中に混じっていた(杉の腐木上)。今回は幸運にも立っていて気付いたのだが,コケの採集はやはりしゃがみ込まなければ駄目だ。
薄緑の埃のような密な塊があって,その中に黄色っぽい点々がかすかに見えた。その 1つ 1つの点がボール状に集まった無性芽だった。無性芽の目立つ今が採集の適期であろう。弱い光沢のある細い針状の葉が開出し,その上に黄緑色の見事なボールが乗っている。これだけで本種と特定できそうな気がする。似た感じのものにマユハケゴケ Campylopus fragilis があるが,これは高地性の稀産種。
ホソバオキナゴケ Leucobryum juniperoideum によく似ていると言われるが,生えている様子は全然そのようには見えなかった。葉の厚味も全く違う。
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それとなく やがてたしかに 金木犀 小松倫子
木犀や なにか足らざる 平穏に 塚本久子
木犀の 香や年々の きのふけふ 西島麦南