一度同定して安心し,正確な細部を忘れていた。ごく普通種で,ギンゴケなどと一緒に濃緑色の密なクッションを作る,という程度のイメージしかなかった。
今日出会ったのは,高さ 7mm強の真っ直ぐな紐状の茎が立ち並んでいるもので,ぎっしりという感じはなく,茎の下部まで緑の葉がきれいに見えている。色は黄緑で茎頂が白っぽく光っていた。
葉腋に卵形の黄色い無性芽(±0.15mm)がぎっしりついていたので,すぐに未知の種だと思った。ヒメギンゴケモドキ Anomobryum filiforme の可能性を随分調べたが(極めて変化が多い),中肋の突出具合と葉身細胞の大きさが一致しなくて諦めた。
仕方がないので,近縁の種で無性芽のあるものを捜していたら,本種に行き着いた。無性芽がつくことは知らなかったし,そのことに触れてない解説も多い。無性芽は常にあるわけではないということか。
正確の葉の形も覚えていなかったのだが,今回は身に沁みた。薄くて小さい葉の割には中肋が太く“丈夫”で,棘状に葉先から突き出るのが目立つ。ギンゴケとは,葉が細く尖り,湿ると斜開する点が異なる。これで,やっと B. exile が自分のものになったような気がするが,未だ胞子体を見ていない。
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朝顔の 花の折り目の 新しく 岩田由美
朝顔が のぼりて候 竹の垣 才麿
朝顔や おもひを遂げし ごとしぼむ 日野草城