最近までツクシホラゴケモドキ C. tsukushiensis とされていたものである。名前が変わった事情はよく分からない。今までトサホラゴケモドキ C. tosana しか知らず,なじみのない属である。チャボホラゴケモドキ C. arguta も必ずあるはずだが未だ気付いていない。
葉質が薄く軟弱で,植物体も小さく注意を引きにくいものが多い。純群落ならまだしも,他のものに少量混生していたりするとつい無視していまう。ただ,倒瓦状で腹片を欠くものはあまりないので,属の見当はつけやすいと思う。
葉身細胞は大きくて(約55×30μm)・薄壁・トリゴンはなく・表面は平滑。楕円又は紡錘形の油体(長さ±10μm)が 2〜4個程度あって(内部は微粒状),通常その中央に大きな「眼点」が見られる。これは近縁の他種と異なる著しい特徴である。こういうのは,同定後安心感があって気分がよい。しかし簡単すぎて,微妙な事実を知ったという達成感はあまりない。
なお油体の中央が白く光るだけでは,眼点とは言わないので注意が必要である。内部が均質でなければならない。
流れのすぐ近く,岩上の薄い湿土の上にあったが,こういう場所が本種の定位置のようである。
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鬼百合や りんとひらいて 蝉のこゑ 史邦
しづけさは 鬼百合の丈 そのあばた 森 澄雄
鬼百合や 灯台の影 引く崖に 福島五浪
Calypogeia共通の特徴のようです。時期がぴったり合うとどっさりつけています。