路傍の小さな神社のイヌマキに這っていた(神社にイヌマキを植えるのは何故なんだろう)。目で見て何か変な気がして(枝が立ち上がってゴチャゴチャ)ルーペで覗いてみた。小枝そっくりの無性芽がぎっしりついていて多少興奮。シトネゴケ目で小枝状の無性芽がつくものがあるとは思っていなかった。
ルーペで見るとアオギヌゴケ属かと思うが,葉身細胞の膜が厚く長めの菱形(基部に近づくと方形)で,顕微鏡下では様子が全然異なる。中肋は強く葉身の 3/4くらいまで伸びるが,時々中心をずれて少しそっぽを向くのがあって面白い。山地で見かけるオカムラゴケ O.hakoniensis よりずっと小さく,枝先が細く伸びるような傾向もない。
「無性芽は必ず付きます」という感じだが,無くても同定に困ることはない。葉の尖り方と大きさ・皺の多少・中肋の長さ・葉身細胞の形。
実は一年前にこの祠へ立ち寄ったことがあるのだが,何をしていたんだろう。ハイヒバゴケHypnum cupressiforme が杉の巨木の根をぎっしり覆っていて驚いたが,これも見逃していた。ありふれた普通種をきちんと把握してないからこういうことになる。「どうせ,○○だろう」と思ってしまうのだ。
---------------------------------
ポンポンダリア いろんな色に 咲いてみせ 西村和子
ダリア咲く マチスの赤を ふんだんに 福原実砂
鮮烈に ダリア咲かせて 嫁がざる 伊藤主津子