[mixi] チャボホウオウゴケ　Fissidens tosaensis

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丹後の日記

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チャボホウオウゴケ　Fissidens tosaensis編集する: 2007年07月21日19:02; 3 view

街中の小さなトンネルの出口，陽が当たらずいつも湿っているような石垣についていた。茎の高さが 5-8mmと低いことと，葉の周囲が白く光る細い線（舷）で縁取られているのが印象に残った。

帰って図鑑を見たら，そんなホウオウゴケが何種類もあって驚いてしまった。この小さくて舷のあるグループは，胞子体がないと同定は無理かも知れない。特に未知の種の初めての同定はやめた方がよさそうだ。

山の中ではないので，いつでも見に行ける。胞子体ができるのを待てばよいのだが，できるだけ対象を絞っておくことにした。
　(1) 上翼の細胞の長さは 7-13μm，
　(2) 葉の先端は丸味があって細長く尖ることはない，
　(3) 舷は全周にあって強い，
　(4) 水しぶきのかかるような場所ではない，
　(5) 茎の中心束は明瞭，
を使ってはねて行ったら，他に可能性があるのは以下の 2種に限られた。

ツクシホウオウゴケ　F. bryoides var. lateralis
エゾホウオウゴケ F. bryoides var. bryoides
しかし残った 3種は，どこがどう違うのか記載を読んでみてもよく分からない。葉の形が長楕円形に近く，葉先が広く尖るのでとりあえず F. tosaensis にしておくことにする。

どこかで，胞子体を見付けた時が答合せというわけだ。コケというのはなかなか時間のかかるものである。なお，多分同じものを山地で 2回ほど見ているがいずれも朔はついていなかった。

≪追記≫
標本にするために掃除していたら，蒴柄のみあるのが 7個と，朔も付いたのが 3個見付かった。2個は多少下だが残りは皆頂生である。朔は 1個が曲がっているが， 2個は直立して相称である。ということは，エゾホウオウゴケ F. bryoides var. bryoides ということになりそうだが，本当だろうか。あまり普通種ではないと思われるし，何しろ採集地点の標高が 3mである。

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　ひそやかに　静かに　黴に　対しをり　　　　　後藤夜半
　ワグナーの　とどろきわたる　黴の家　　　　　辻田克巳
　黴の世や　言葉もつとも　黴びやすく　　　　　片山由美子