陽当たりの良い尾根筋の岩に少量ついていた(標高 550m)。最初,フトリュウビゴケ Loeskeobryum cavifolium と思ったが,色が黒過ぎるし(頭の方だけ緑)場所も変なので念のためにと持ち帰った。 1週間放ってあったのだが,出してみたら長い中肋があって驚いた。
顕微鏡下では L. cavifolium とは全く別のものである。ハイヒモゴケ科はキヨスミイトゴケ Barbella flagellifera に次いでまだ 2つめだが,葉身細胞の真ん中に明瞭なパピラがあって分かりやすくてよい。
葉は強く覆瓦状につき,全体が丸い紐のようになる。葉は深く窪み上部は切形で,中央が急に突出する。この突出状の葉先が短いのでハイヒモゴケ M. subpolytrichum ではない。変種にサイコクサガリゴケ var. cuspidatum があるが,葉身細胞が大きく(25μm以上)翼部の細胞も±15μmあるので,それでもない。つまり,ssp. helmithocladulum 。
この岩にはシダの珍種(西日本では)ヒモカズラがついており,霧がかかりやすいとはいえガンガン陽の当たる断崖である。何とも頼もしいコケだ。
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あたたかく たんぽぽの花 茎の上 長谷川素逝
たんぽぽや いつも素顔の ままでいい 國島五月
たんぽぽや オフィスガールの ランチの尻 樋口素秋