保育社の図鑑の,絵の影響が強過ぎたのだろう。”枝の先は葉が徐々に小さくなり,長く伸びて尖る”というイメージが固定していた。なお,大きさについてもあの絵は錯覚しやすい。×1.5以上に見える。
いつの間にか P. euryphyllum ならば,・白味のあるくすんだ緑色,・葉は薄くてペラペラ,・はっきり扁平で刺々しい,・重なって広がりペタンとした感じ,などと思い込んでいた。さらに,“高い場所ではサイズが小さくなり,広い面積の群生が多い”ようだ,という印象もある。ただ,きちんと観察してないので合っているかどうか分からない。
今回のは黄色味を帯びた明るい緑で,丸い紐状の枝が斜めに立ち上がっていたので,未知のものだ!と喜んで採集した。そして,本種の多形( very variable species )を知らされることになった。本当に葉は丸くついているようで,濡らしても開かず(そのままで変化しない)非相称の葉も見られなかった。一時変種とされていた var. brevirameum なのかも知れない。
ただ,枝の先は現在太くて鈍だが,これから成長して細長く伸びる可能性はある。色も褪せてくるかも知れない。また,付近には丸くなくて扁平に葉をつける集団も続いていた。
それにしても,検索表のキーである“下延部”の観察はどうやるのだろう。“最下端の細胞が三角形”と言われても非常に困る。そして,この長くて発音しにくい和名も何とかならないものか。
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チューリップ 微塵の罪も 無く咲ける 本井 英
チューリップ 原色はみな 孤独なる 中村正幸
もう駄目と いふほど開く チューリップ 玉村潤子
「“下延部”の観察」は,茎を観察します.茎の上面についている葉を適当に落として,そのまま,カバーガラスをのせて,葉基部の両端がどのように茎上に下延するかを観察します.
ありがとうございます。時間を置いてまた行ってみようと思います。採集範囲が狭いので同じ場所へ何度でも行けます。
> そのまま,カバーガラスをのせて,
茎の方を見ればよいとは論文に書いてありましたが,どうすればよいのか気付きませんでした。これで,Plagiothecium が憂鬱でなくなります。