ヒメミノゴケ M. gymnostomum にしては少し大きいと思って持ち帰った。胞子体がないので検索表は使えず,検鏡してみても両者の差異がはっきりしない。
M. ferriei とした根拠は,「枝の長さが 10-15mm」という点のみで,あまり面白くはない。M. gymnostomum の枝の長さが ±5mmという事実に全面的に頼ることにする。事実,今まで見てきたものは皆そうであった。今回のものは枝が更に短い枝を沢山付けて立ち上がり,はっきりと大きい。
両種の葉身細胞の形や大きさの違いをはっきり把握できていないのだが,以下のことは言えるかも知れない。
(1) M. ferriei は葉身の下部が幅広い葉が多く混じる。
(2) そのような葉は,下半部の“パピラが少なくて明るい部分(細胞の輪郭が明瞭)”が広く,より上部(1/2以上)まで達する。
近い種で他に,ケミノゴケ M. comatum があるが,細胞の輪郭が明瞭ということで排除できる。M. ferriei の場合,葉身上部では全く輪郭が見えない。
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踊子草 花のさかりも 葉がちにて 島谷征良
白日や 白き踊りの 踊り草 永田逸水
踊子草 蕗をむく娘(こ)に 踊りけり 西本一都