[mixi] コブオバナゴケ　Dicranella cerviculata

検索フォーム

丹後の日記

Javascript の設定が無効になっているため、一部の機能を利用できません。

詳細はヘルプをご覧ください。

コブオバナゴケ　Dicranella cerviculata編集する: 2007年03月21日21:56; 3 view

同定に行き詰まり仮にこれにしておくだけで，自分でも信じてはいない。何しろ北海道以外の採集記録が見付からなかった。

ススキゴケ D. heteromalla の可能性もあるが，隠岐では D. heteromalla をまだ見ていない（過去の記録あり）。逆に，ホウライオバナゴケ coarctata によく出会うのは奇妙。

最近造成した水田の土手に広く分布している。いわゆるパイオニア（先駆植物）で，他のものがほとんどない裸地を独占。

D. heteromalla にできなかった理由。
　(1) 「蒴柄は乾くと蛇行状となり，湿ると鍋のつる状に曲ることが多い」という形が全く現れない。
　(2) 多少傾く朔の基部に疣状のふくらみができる。9割以上がルーペで確認可能。
　(3) 葉鞘部の細胞が大きい。中央部で長さ 50-70μmくらい。

D. cerviculata で気がかりな点。
　(1) 北海道のみという日本での分布。
　(2) 中肋があまり太くはない。細くはないが葉の基部の幅の 1/3-1/2 （The Moss Flora of Britain and Ireland）に当てはまらない。
　(3) 中肋の横断面が，D. heteromalla の半分くらいの高さで飛び出して見える。平べったい感じ（Mosses of Eastern North America）ではない。

Dicranella とした根拠。
　(1) 葉に鞘部があり上半部では中肋のみになる。
　(2) 乾湿に拘わらず葉は狭い角度で斜上したままで変化しない。
　(3) 翼部は分化せず葉身細胞は平滑。
　(4) 赤褐色の外蒴歯は 2裂し，下半部は「点状のパピラが 1列に並んだ縦の条」で覆われる（上部は透明で斜めの筋からなるベルカ？）。

---------------------------------
　おり立ちて　見廻る庭の　木の芽かな　　　　　　　正岡子規
　隠岐や今　木の芽をかこむ　怒濤かな　　　　　　加藤楸邨
　スカートの　襞より湧きて　木の芽風　　　　　　　　高崎啓夫