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丹後の日記

ヒメスギゴケ Pogonatum neesii編集する
2007年03月10日18:17全体に公開
3 view
コスギゴケ P. inflexum に非常によく似た種。以前から気になっていたがようやく確認できた。実は P. inflexum のつもりで,もう一度よく見るために自宅近くで採って来たものがそうだった。

(1) 乾いた時の様子
P. neesii
 葉が内側に湾曲して,先が茎に接する程度。茎の先では丸くなるが巻き込むことはほとんどない。
P. inflexum
 激しく巻縮し,きりきりとゼンマイのようにきつく巻く。

(2) ラメラを上から(腹側)見る
P. neesii  短い楕円形もあるが,円形のものが多い。
P. inflexum  横長の角張った楕円形(横が縦の 2倍以上)のものがほとんど。

(3) ラメラ端細胞の横断面
P. neesii
 円形あるいは角の丸い方形で,上辺の中央が狭く浅く凹む(切れ込み)ものがかなり混じる。
P. inflexum
 横長の菱形あるいは上が広い杯状,しばしば上辺中央が疣状に膨らむ。中央が凹むことは 99%ない。

近似種のAかBかを判定する時,以下の 2タイプが出て来る(例えば細胞の形だとすると)。
 (1) ○ 99% : --> A,   □ 99% : --> B.
 (2) ○ 80% : --> A,   □ 80% : --> B.
通常は (1) の方であるが悩ましいのは (2) のタイプ。種 Aで,大多数は○だが少数の□が混じることがある。ラメラ端細胞に対する条件は (2) のタイプのようだ。

ごく普通種のようであるが本種の生態はまだ分からない。以下のことを事実かどうか確かめたい。・より日陰を好む,・湿気の多い場所に多い,・中肋の色は普通緑(赤くならない)。

なお,P. inflexum の標本(1年経過)が濡らしても元に戻らず,葉身細胞は縮んだような形で何とも変であった。より顕著に特徴が現れるとも言えなくはないが,やはり生きた状態での観察が必須だと思う。

《追記》

やはり,ラメラ(薄板)の頂端細胞の形を切断面で比べるのが最も確実明瞭であった。他の特徴だと迷うことがある。

(1) P. neesii は方形に近いが(むしろ縦長),P. inflexum は,はっきり横長でかつ上辺が明瞭に長い(下辺より)。
(2) P. neesii は上辺中央が浅く凹む(溝状の切れ込み)ことが多いが,P. inflexum は基本的に切形,時に中央が疣状に膨れる。緩いカーブで内側へへこむものも稀にある。

両種が同一場所に並んで生えていた。面白いというか奇妙というか。

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 はくれんや 起ち居のかろき 朝来たり    臼田亜浪
 咲ききりし 白木蓮の 揺ぎかな        星野立子
 死とともに 光をあゆむ マグノリア       高澤晶子

コメント

  • プロジェクトK

    プロジェクトK2007年03月10日 19:28 削除
    P. inflexum の標本(1年経過)が濡らしても元に戻らず,<

    戻りは悪い方なので、アルコール(ビール程度で充分です)に浸してから水に入れて、5分もすれば元通りになりますよ。
  • 丹後

    丹後2007年03月10日 21:11 削除
    ありがとうございます。早速やってみます。

丹後

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