ヒメトサカゴケ C. minor とどう違うのかが今まで分からなかった。検索表による区分は,(1) 無性芽の有無と,(2) 雌雄異株か同株か,である。
ヒメトサカゴケは普通は無性芽をぎっしり付けているのですぐに分かる。しかし,無性芽の付き方がごく少ない場合もあり,「無性芽がないからトサカゴケ」と言ってよいかどうか?また,雌雄同株のトサカゴケは雄花が雌花の直下にあるというが,そもそも花被をつけたものに出会うのがそう簡単ではない。ひょっとしたら,時期や場所(環境)が決まっているのかも知れないが・・・。
海岸の大きな岩上にぎっしり固まっていたもの(無性芽はなし)を,ヒメトサカゴケと並べて検鏡してみた。無性芽と雌雄性以外の違いが書いてあるものは,保育社の図鑑しか持っていないのでこれが唯一の手掛かりである。色・葉の付き方・葉細胞の大きさなどについては明確な差を見出せなかった。
唯一,1細胞当たりの油体の数に明瞭な違いがあった。本種は,3-5個でごく稀に6(7)個のものが混じる程度であるが,ヒメトサカゴケは 7個以上で 10個を越えるものも少なくない。これは数えなくても一目で分かるくらいはっきりしていた。この形質が個体差以上のものであるかどうか,もう少し観察を重ねないと安心ができない。
---------------------------------
日溜に 日なたぼつこの ふきのたう 宮澤ゆづる
ふきのたう あらもうそんな 頃なのね 中本妙子
蕗の薹 つむや二十歳の 膝そろへ 鷹羽狩行