[mixi] ツチノウエノカタゴケ　Weissia planifolia

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丹後の日記

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ツチノウエノカタゴケ　Weissia planifolia編集する: 2007年02月15日11:40; 3 view

蒴柄の長さがすべて 3.5mm 以下のごく小さいものを採集した。一見してツチノウエノコゴケ W. controversa とは別の種だと思ったが，ことはそう簡単ではなかった。ツチノウエノコゴケを馬鹿にしてよく観察していなかった罰である。本種についての情報が乏しいせいもある（コケ学習の泣き所）。

検索表によると，「葉縁が内曲」するかどうかが，もっとも分りやすい両種の区別点のように思われる。これは「湿った状態」でという意味であるが（多分），どれくらい湿った状態のことなのか，今回の採集品も乾いてくると内曲するので困った。

そこで，両方を完全に「濡らした状態」で比較してみることにした。ツチノウエノコゴケの方は例外なく葉縁が狭く内曲していた。記載にある「狭く」内曲の意味が初めて分った！実体顕微鏡でも葉縁が筋のように見えて明らかだが，生物顕微鏡でははっきりと確認できる。切片を作れば更に良い。

一方，ツチノウエノカタゴケの方は，内曲する部分は全く認められなかった（葉縁は平面で薄く鋭い）。ただ，新芽に限っていえば，内曲するものが少しあった。多少の個体差はあるのかも知れないが，大勢としての差は混同する余地がないほど明瞭である（予測）。

以下は現時点での推測で，数に当っての検証が必要である。
(1) 蒴柄：　±6mm → 4mm 以下
(2) 色：　明るい黄緑色 → 暗緑色
(3) 葉縁：　少し乾くとすぐ内側に巻く → 多少乾いても平面状の葉が多い
(4) 葉先:　僧帽状（cucullate）に凹む → 平面的
(5) 湿気：　明るい比較的乾いた場所 → より湿り気を好む
その他，本種は朔のオレンジ味が強い，葉質が厚く固い，熟期が早い等。

なお，ナガハゴケ W. longidense なるもののあることを知ったが，これはルーペで朔または蒴歯を一々見て歩かないと，採集ができそうにない。配偶体では区別できないそうである。

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　足もとは　瑠璃（るり）色淡き　いぬふぐり　　　　黒谷光子
　足もとを　吹く風ちさく　犬ふぐり　　　　　　　　　真木伸子
　スカートに　風の孕（はら）みし　犬ふぐり　　　　中村静子

丹後2007年02月15日 18:01

《自己レス》

以下はネット上で見付けた唯一の解説。他はすべて種名リスト類。出版は無理でもせめてWEB上でコケの記事が増えて欲しい。折角未知の種を見付けたと思っても，数行の解説で終りというのは味気ない。

＜横浜市丸海山緑地の蘚苔類　河濟英子 2005＞
県内のクリ・カシ帯には極めて普通の種。同属近似の種と混同され見逃されてきたと思われる。向陽の乾いた土手・岩崖上の土などに多い。

実は，ツチノウエノコゴケとしていた標本の中に本種が 1個混じっていて，そんなに少ない種ではないだろうと思っていた。だけど，初心者でも「ちょっと変だ」と思うようなもので，ベテランの採集家が見落すだろうか？

《その後追記》
学名が変更されてWEB上の『Moss Flora of China』にかなり詳しい解説がある（図付き）ことが分った。 Weissia controversa Hedw. はそのまま！

Trichostomum planifolium (Dix.) Zand.
Bulletin of the Buffalo Society of Natural Sciences. 32:92. 1993; Weissia planifolia Dix., Rev. Bryol., n. ser. 1: 179, f. 1. 1928