同定のレベルを 3段階( 3:確定,2:要確認,1:疑問)に分けている。本種は胞子体がついてないし,珍しい種なので慎重を期して 2 としていた。今回,胞子体のないままでこの種の特徴付けを試みた。葉先の形と中肋の長さが重要である。
既知種のチャボヒラゴケ N. humilis,エゾヒラゴケ N. yezoana でないことは明瞭だが,中肋がごく短いことからも確認ができる。
標高 550mの切立った尾根筋,林内の樹幹から垂直に垂れ下がっていた。 分枝はまばらで不規則,あまり多くはない。
葉はやや扁平につき(強く扁平ではない),著しい波状の横皺があるのが特徴的(皺の弱い葉も一部混じる)。
葉先はやや広めの鋭頭で,切形・円形・舌状ではない。
>> リボンゴケ属 Neckeropsis ではない。
中肋はごく短く 1本または 2叉するが,弱くてほとんど見えないことも多い。
>> タカネメリンスゴケ N. konoi, サイシュウヒラゴケ N. fauriei ではない。
葉先が折れやすい,ということもない。
>> モロハヒラゴケ N. nakazimae ではない。
ハネヒラゴケ N. pennata が残ったが,この種は長く垂れ下がるような生長はしない。枝も同一平面でうちわ状に展開するという。
ごちゃごちゃしたが,・葉先が尖っていて,・横皺が著しく,・細長く垂れていれば,この種と思っていいようだ。真下へだらんとぶら下がるのが一番の特徴かも知れない。
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よき言葉 聴きし如くに 冬薔薇 後藤夜半
淋しさは 愉しさに似て 冬薔薇 中村芳子
大寒の 薔薇に異端の 香気あり 飯田龍太
先輩にもぴったりこないと言われました。
もし丹後さんならどんな植物季語をあわせますか?
意味は「日常に戻った(我に返る)」ということですね。冬の季語でしたら『花八ッ手』ぐらいしか思い付かないのですが。
寒い夕方のイメージがありますし,庭に普通にある平凡なものです。淋しさ・つまらなさを象徴しています。