図鑑に“稀”と書いてあるくらいで,あまり普通の種ではないようだ。以前に一度少量を採集したことがあるが,その場所ではそれきり消えてしまった。自分が採ったせいだろうか?
気になって探し続けて来たが,今回その近くのスダジイの根元で大きい群落を見付けた。ちょうど胞子体ができあがったところで,薄緑色の朔がずらりと並んで広がっていた。考えてみたらこの路は今まで 20回近くは通っている。まだ目が見えてないということだ。
葉の先は大きく変形して円頭に見え,キャラハゴケ属 Taxiphyllum やその近縁のものとはとても思えない。しかも,強く扁平に(コケで使う“強く”や“著しく”は尋常ではない!)茎について,キラキラと光る艶がある。
他の種から明瞭に区別できるが,ヤマトヒラゴケ Homalia trichomanoides var. japonica だけは例外である。こんなに遠く離れた種が,何故同じ形に進化したのだろうか。本種に最初に出会ったのはまだコケを始めて間もない頃で,朔はついていたのに,ちゃんとヤマトヒラゴケに間違えた。そして所属が分からなくなり,立ち往生したことを思い出す。
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竜の玉 瑠璃の時過ぐ 涸(か)れの中 岡村進一
なまぬるき 夕日をそこに 龍の玉 岸田稚魚
誰がための 深き瑠璃いろ 竜の玉 鈴木二郎
つい最近私も採取したのですが人里近い所だったので
図鑑に「稀」と表記されているのが気に掛かり、
生物顕微鏡の上で何度もHomalia trichomanoides var.japonicaと見比べて
ヤマトヒラゴケには必ず中肋がありユガミタチヒラゴケには必ずないというのを確認してやっと自信がもてました。
両者の似様は本当に不思議ですね。
あの葉っぱのカーブにもやっぱり何か理由があるんでしょうか?
>あの葉っぱのカーブにもやっぱり何か理由があるんでしょうか?
もちろん意味はあるのでしょうが・・・。強い光沢や扁平であることにも。
系統的に遠いものが,似た環境で似た形に進化するのは,よくある現象ではあります。
この種は『岡山県野生生物目録』に出てきませんので,最初の発見かも知れませんね。
ちなみにそこではシバゴケRacopilum aristatumも普通でした。
出張先のホテルから徒歩で1時間くらいでしたが
初めての種に出会えたので個人的には結構面白かったです(^-^)