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丹後の日記

ホソヘチマゴケ Pohlia leucostoma編集する
2010年07月11日18:10全体に公開
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以下のように省略する。
 Noguchi: “Illustrated Moss Flora of Japan” (1988)
 MFC: “Moss Flora of China vol.4” (2007)
 Akiyama: 『無性芽を有するヘチマゴケ属の研究 1.日本産キヘチマゴケとその近縁種の再検討』 (“蘚苔類研究” 2008)
そして,ケヘチマゴケ P. flexuosa を2つに分ける。
 *ケヘチマゴケ・・・普通によくある,従前通りのもの。例えば Noguchi: による。
 [P.flexuosa]・・・Akiyama: による欧米流の新見解。

まず Akiyama: の検索表を使ってみたが, [P.flexuosa]になってしまった。そしてこの論文では,P. leucostoma は [P.flexuosa] のシノニムに落してある。しかし本品は,*ケヘチマゴケとは非常に異なるものである。実は,以前に更に変なものを採集して,秋山先生に見て頂いたことがある。同定結果はやはり P. flexuosa var. flexuosa で,「白状すると,今回お送りいただいた植物のような無性芽をつけるP. flexuosaはこれまで実際に見たことはありませんでした(文献ではそういうタイプのものがあることは知っていましたが).」という付記があった。越智先生の標本も精査(Akiyama: )された後の言葉である。

今回の採集品がそれと同一物であるという可能性もゼロではないだろうが,葉の付き方・葉形・葉質・葉身細胞等はっきり違うものだ。現に以下に述べる検索手順で,前回の時は行き詰った。仮に本種が,将来 [P.flexuosa] と同一視されることがあっても,種内変異のタイプとして分けて認識することは無意味ではないと思われる。

Noguchi: に従うと,問題なく本種に行着く。取り分け,(1) 茎の先端が細く尖る(葉が上に行くほど小さくなる),(2) 葉がまばらにつく(隙間があいてガラガラ),(3) 挿図にある弱々しくスレンダーな姿,がぴったり。難点があるとすれば,葉腋に付く茶褐色卵形の無性芽への言及がされてないこと。注記に "This species is very rare in Japan." とあるので,採集記録を調べてみた。福島県から大分県まで20県以上の標本がある(隠岐の近くでは,山口・広島・鳥取・京都)。量は少なくても分布は広いようだ。

MFC: の検索表(全25種)を使ったら,いきなり本種に到達して驚いた。記載も前記 (1)〜(3) を含めことごとく一致し,葉形・無性芽・茎葉体の図版もそっくりで疑う余地がない。しかも,「この種は,2つの違った色の無性芽で特徴付けられる。卵形のもの: 赤褐色,糸状のもの: 薄緑。」となっていて,全く仰る通りです。

林道沿の明るい場所であるがまだ成長しきってないようで(*ケヘチマゴケと比べると随分遅い),無性芽がはっきりしている箇所は部分的にしかなかった。
 (1) 極く幼いものは葉腋に何もなし,
 (2) やがて葉腋に粒々が出来てくる(この状態の部分が主体だった。褐色のものは卵形,半透明のものは糸状の無性芽に成長すると思われる),
 (3) 薄緑の糸状の無性芽をまばらに付けるものが現れる(葉原基 Primordia を欠く!のが著しい特徴),
 (4) 暗褐色の卵形の無性芽をぎっしり付けたものは,全体が締って弱々しさが消え色も濃緑になる。
秋にはどうなっているか,もう一度確かめる必要がある。イヤ,舗装路なので何度でも行けばいい。


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 梅雨菌(きのこ) 大団結を もくろめり    阿波野青畝
 命ある ものはみな朽(く)ち 梅雨茸     村上沙央
 日々育つ 悔に似しもの 梅雨茸       伊藤トキノ


イイネ!1

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