[mixi] ナガハコゴケ　Weissia longidens

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丹後の日記

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ナガハコゴケ　Weissia longidens編集する: 2010年06月12日21:25; 8 view

もともと少ないのか，あるいは気付かれてないだけなのか，採集記録の比較的少ない種である。配偶体だけではツチノウエノコゴケ W. controbersa との区別ができないと言われている。今回も現地で「採る・採らない」は紙一重の差だった。初めて来た場所でしかも山の中だったことと（300m alt.），〔朔〕柄が多少長く見えた（±8mm）のでつまんでみた。

きれいに揃った蒴歯が，直射日光で乾いてほぼ水平に開ききっていた。まん丸に見開いた瞳の睫毛のような具合。黄色の〔朔〕柄と縦皺の目立つ〔朔〕から，一瞬ホウライオバナゴケ Dicranella coarctata を思った。こんなに〔朔〕歯が思い切りよく開出するかどうかは知らない。そして，葉はハリガネゴケ Bryum capillare にそっくり。「？？？」。そんなわけで採集することになった。実は，本来の葉が乾燥のため小さく硬く巻き込んで，ハリガネゴケに隠れていたのだった。

葉は早落性ではなく，濡らしても内曲が顕著なので，本種とツチノウエノコゴケの間の異同さえ調べれば用が足りる。専ら〔朔〕歯について比較する。
ナガハコゴケ：
　　16本きれいに揃って，上半分は糸状に細く伸びて尖る。長さは300-400μm。
ツチノウエノコゴケ：
　　時に歯が抜けたように欠けていて，長さも形もひどく不揃い。先端も鈍。長さは120μ以下。

これは，迷う余地のない明瞭な差だが，〔朔〕歯は壊れ易く落ちやすいので新鮮な状態で比較する必要がある。熟していれば蓋を引っ張って外した直後なら間違いない。ただ慣れて来れば，半ば壊れたもの同士でも一目見ただけで分かる。それほどの印象の違いがある。

なお，検索表では「〔朔〕は乾くとねじれる」となっているが，そうは感じなかった。ただ，溝が深くて目立つとは思った。〔朔〕歯の長さが多少足りない点（400μm以上）も含めて変異の範囲内であろう。そんなことが気にならないくらい，(1) だらしなく崩れたような，不揃いで矮小な歯と，(2) 細く伸びるきれいに揃った（形も長さも）歯，の対照は際立っている。

また，「乾燥すると〔朔〕歯が内曲する」という記載も見たが，そんな兆候は感じなかった。そういうこともあるかもしれないが気にしないことにする。

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　すかんぽの　実をつけ梅雨に　入る構え　　　　　吉田雀歩
　幹のぼる　またたび白く　梅雨に入る　　　　　　　笹本落葉子
　十薬の　花白き庭や　梅雨に入る　　　　　　　　　中野三允