検索フォーム

丹後の日記

コマノヒツジゴケ 2 Brachythecium coreana編集する
2010年05月09日16:21全体に公開
4 view
アオギヌゴケ属で知っているものを挙げてみた(隠岐島内)。〔3〕のタニゴケまではまず問題がない。今回コマノヒツジゴケを再検討する必要を感じた。以前に2度採集しているが「わかり方」が不十分だという気がしていたため。今回の標本はやや感じが異なって見えた。なお,〔4〕のグループについては全く自信はない。今後の課題である。あり場所はきちんと分かっているしいつでも見に行けるので,そのうちに何とかしたい。

〔1〕 極普通
  ナガヒツジゴケ B. buchananii
  アオギヌゴケ B. populeum
  ハネヒツジゴケ B. plumosum
〔2〕 普通
  ヒモヒツジゴケ B. helmithocladum
〔3〕 やや稀
  タニゴケ B. rivulare
  コマノヒツジゴケ B. coreanum
〔4〕 極稀
  ヒロハフサゴケ B. salebrosum
  ヒツジゴケ B. moriense
  ハタオリヒツジゴケ B. sakuraii

今までのように山奥の陰湿な場所ではなく,明るい道端の岩についていた。色も,暗い汚れたような灰緑色ではなく,澄んだ淡い黄緑である。現地で名前が言えないので持ち帰ったが,これならあちこちにありそうな気がする。

帽に毛が生えるという驚いた特徴があって,胞子体があれば一発で分かるそうだ。帽が落ちていれば,雌苞葉内のふさふさの側糸(paraphysis)を見ればよいという。ただ,雌雄異株なので胞子体はできにくいのかもしれない。

今回はっきり意識した見かけの特徴は以下。ルーペだけで同定できそうな気がする。
 ・葉は薄質で透明感があり,柔らかくふわっとつく。葉の数が多く多少とも覆瓦状。
 ・乾湿で変化せず斜上したまま,茎に丸くついて圧着もしない。
 ・キラキラするような光沢があり,強弱はあるがはっきりと感じられる。個体によっては葉面が縮れたように凸凹(さざ波状)になることもある。
 ・枝葉は靡くように鎌曲がりする(方向は不揃い)。これも強くはないが明瞭で,著しい特徴だと思う。こんな Brachythecium が他にあるんだろうか。

実体顕微鏡下でより明瞭であるが,葉には畳み皺のような縦の条ができ,透けたような葉身部なので非常によく目立つ。多少皺寄るというレベルではない。葉先は鋭く尖るが毛尖(1細胞列)とまでは言えない(検索表では「毛状」を選択)。上半部の葉縁に低くまばらではあるが,強い鋸歯がある。多少反曲気味の葉縁とともに印象深い。

葉は3±0.5mm×1-1.5mmとやや大型,葉身細胞は,75-100*5μmと細く長い。翼部の境界はなく,短く・幅広く・厚壁で・くびれた,細胞が中肋の方まで伸びる。

よく似た他の種があったら困るが,実はある。ケヒツジゴケ B. garovaglioides は,葉が広卵形で,中肋が葉長の1/2以下,葉身細胞の幅が広い(8μm以上),ということで否定した。ツブテゴケ B. glareosum との差はよく分からないが,葉先が急に狭くなり,葉が乾いて茎に圧着するという点は異なる。あまり採集記録のない種なので「これではない」ことにする。

分布は日本・朝鮮・中国。朝鮮の標本で記載された種なので,「コマ」は「高麗(高句麗)」のことかもしれない。

---------------------------------
 風に揺るゝ げんげの花の 畦づたひ     星野立子
 押しよせる 光の中に げんげ摘む      岡崎桂子
 ままごとに 犬も坐れる げんげ畑       桑原初子






コメント

丹後

close
  • 絵文字

利用規約および個人情報保護ページに同意のうえ投稿してください。

日記を書く

友人の最新日記

<2010年05月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

日記の使用状況

0.8MB/2000.0MB