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丹後の日記

タマキチリメンゴケ Hypnum dieckii編集する
2010年04月21日19:10全体に公開
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多少引っかかる点はあるが,他に持って行きようがない。茎の表皮細胞が,大形・薄壁・透明 (hyalodermous) なHypnumは 7種に限られるが,最も手っ取り早いのが野口先生の検索表。紛れなく直ぐに本種に行き着く。

道路際の湿岩(150m alt.)に枝を立てて叢生しているのが目に止まった。あまり注目してなくて忘れていたが,実態顕微鏡下でほぐしてみたらきれいな羽状分枝だった。直ぐにこれはエゾハイゴケ H. lindbergii の小型の奴だろうと思った。見れば見るほど,葉の質感・尖り方・縦皺がそっくりである。違いを強いて挙げれば,やや葉の長さが短い(to 1.5mm)のと鎌曲がりの程度がかなり強いことくらい。

そこで両種の翼部を丁寧に見たが,いくら何でもこれが同一種ということはあり得ない。本種にも大形の透明細胞があるが(オオベニハイゴケ H. sakuraii に似ている),H. lindbergii の翼部はとんでもないものなので,あまり悩む必要がない。本種では葉基部の細胞が厚壁になってはっきりくびれる(porose, pitted)のも相違点だと思う。

検索表で近くに現れる他の 4種はいずれも葉先が細く鋭く尖るので否定できる。残りの 1種ヒラハイゴケ H. erectiusculum はよく知っているが,こんなに葉が鎌曲がりしないし縦皺が出たりもしない。翼部では,本種の「境界が明瞭」である点が異なる。

以上をチェックしたのだが,未だスッキリしない。どの文献にも「葉基部が赤褐色」となっていることだ。「必ず」と書いてあったりして困ってしまう。やや黄色みを帯びた緑〜鮮緑色で全く色づいてはいない。


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