かつては（例えば，A. Noguchi 1988 や H.A. Crum & L.E. Anderson 1981） Grimmia 一本だったのが，新しい扱いでは（平凡社の図鑑，或いは "Flora of North America" 2007），シズミギボウシゴケ属 Schistidium というのも出て来た。

「新旧の扱いがごちゃごちゃして厭だな」とついさっきまで思っていたのだが，何のことはなかった。分類そのものに変化はなく，単に学名を付け替えただけのことのようだ。

(1)　かつての検索表は，先頭の分岐で大きく二つのグループに分かれるが，その一方を別属 Schistidium に分離しただけの話である。従って学名を読み替えれば，旧の検索表がそのまま使える。

(2)　そして，Grimmia apocarpa ギボウシゴケ の変種だったものが，それぞれ独立種となった。例えば，
　G. apocarpa var. apocarpa ⇒ S. apocarpum ギボウシゴケ
　C. apocarpa var. gracilis ⇒ S.strictum シズミギボウシゴケ
　C. apocarpa var. microphylla ⇒ S.liliputanum コメバギボウシゴケ

基本的にはただそれだけのこと。長い間悩んで損をした。


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　あさあさの　さむさゆるびぬ　いぬふぐり　　　　瀧春一
　犬ふぐり　小さき日向　好みけり　　　　　　　　　谷村陽子
　瑠璃いろの　風かろやかや　犬ふぐり　　　　　　黒下貞子