別にどうということもないのだが,暇に任せて自宅周辺(100m以内)のコケを挙げてみた。文字通り自分にとっては身近なコケ達である。ただし,海の見える小高い丘の一軒家,陽当たりがよく乾いていて,コケの好む環境ではない。周囲は基本的には畑で,道路と小さな墓地に接している。雑木や庭木が多く,今紅梅と藪椿が咲いている。
全29種,多少とも意味のありそうなものに○をつけた。後の注釈は隠岐島内での様子である。
○キャラボクゴケ Fissidens taxifolius,
ヤノウエノアカゴケ Ceratodon purpureus,
○ナガバヒョウタンゴケ Leptophascum rhizophylla, チュウゴクネジクチゴケ Didymodon vinealis, ヘラハネジレゴケ Tortula muralis, ○ツチノウエノタマゴケ Weissia drispa, ツチノウエノコゴケ Weissia controversa,
○ケギボウシゴケ Grimmia pilifera, ホソバギボウシゴケ Schistidium strictum,エゾスナゴケ Racomitrium japonicum,
ホソウリゴケ Brachymenium exile, ハリガネゴケ Bryum capillare, ギンゴケ Bryum argenteum, ○マエバラマゴケ Bryum mayebarae,
タチヒダゴケ Orthotrichum consobrinum,○コタチヒダゴケ Orthotrichum exiguum,
コバノイトゴケ Haplohymenium pseudo-triste, ノミハニワゴケ Haplocladium angustifolium,ヤノネゴケ Bryhnia novae-angliae,○カヤゴケ Rhynchostegium, キヌゴケ Pylaisia brotheri,○ヨコスカイチイゴケ Vesicularia flaccida,
ヤマトケビラゴケ Radula japonica, シダレヤスデゴケ Frullania tamarisci ssp. obscure, カラヤスデゴケ Frullania muscicola, ヒメミノリゴケ Acrolejeunea pusilla, ヤマトヨウジョウゴケ Cololejeunea japonica,
ウスバゼニゴケ Blasia pusilla,
○ミカヅキゼニゴケ Lunularia curciata
キャラボクゴケ: 異常に多く「キャラボクゴケ屋敷」になっているが,土質の関係か?
ナガバヒョウタンゴケ: 他ではあまり見ない。帰化種という説がある。
ツチノウエノタマゴケ: これは同定が曖昧。近似種との差がよく分からない。
ケギボウシゴケ: 市街地では珍しい。こいつは頑として〔朔〕をつけない。雄かモテない雌。
マエバラマゴケ: 真紅の胞子体と大量の無性芽が特徴。ほとんど採集記録のない種だが,隠岐には広くある。
コタチヒダゴケ: 柿の木の樹幹,ここしか知らない。目に見えないくらい小さい。図鑑には「稀」となっている。
カヤゴケ: 家の土台(コンクリート)に生えていて驚いた。
ヨコスカイチイゴケ: そう多いものではない。「時に人里に出て来る」というクセがある。
ミカヅキゼニゴケ: 帰化種。未だ3ヶ所でしか見ていない。
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はなみちて うす紅梅と なりにけり 暁台
紅梅の かくまで蕊の あきらかに 行方克巳
紅梅は かなしくも知る わが刻苦 山口青邨
身近なコケは、普段も見ることができるので、じっと観察する対象としても面白いものです。
私はこの種の名前を聞くと里地の景観を想像します。
ナガバヒョウタンゴケ:山の中ではほとんど見ませんが、人工的な場所ではたまにあります。
ツチノウエノタマゴケ:トジクチゴケなど、似た種類がありますね・・・
ケギボウシゴケ:東京でも都会では少ないです。
カヤゴケ:これは確か、細胞の長さで区別するのでしょうか?
ヤマトケビラゴケ: 東京だと山の近くまで行かないとありません。
シダレヤスデゴケ:東京では見た事がありません。
ウスバゼニゴケ:東京だと意外とありません。
カヤゴケ: 仰るように細胞の長さが確実です。
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<葉先> カヤゴケは単純に漸尖して尖るのみ(鋭尖の感じはしない)だが,コカヤゴケは“細長く”伸び出して鋭く尖る(やや毛状に見え捩れる)。
<細胞> カヤゴケは短く 95μm前後,110μm越えるものは少ない。コカヤゴケは 120μm以上のものがほとんど。150μmになるのも交じる。
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シダレヤスデゴケ: 東京にもきっとあるはずです。