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丹後の日記

シロテングサゴケ (2) Riccardia glauca Furuki編集する
2009年10月18日13:29全体に公開
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前回の時もこれといった同定上の疑問はなかった。しかし確信が持てたわけではない。そもそも隠岐にあるという事実が信じ難く,不安を残したままであった。 1991年に新種記載されたもので,標本が広島県南部と鹿児島県のものしか引用されていない。隠岐はだいぶ北である。もっとも,屋久島の標本は標高 1,000mとなっていて少し安心した。今回は 2度目,全く別の場所での採集で,「これはいよいよ間違いないかな」という気持になって来た。

油体を眺めていると,「大粒・小粒の 2型があり,しかもそれぞれの大きさがよく揃っている」のが感じ取れる。つまり,油体が大小の 2種類にきれいに分れる。形は球に近く,大粒がほぼ 25-30m,小粒が径約 10μm。それぞれの油体数が多いので,この 2種が混じりあって散らばる様に必ず気が付く。粒の径も印象としては 3-4倍は違う感じ,大小の対照は一目瞭然で大きな差がある。

この 2型性は倍率 10〜100で見た方がよく分る。油体がこのように見えれば同定は終ったも同然,そういう意味では分り易い Riccardia でありがたい。なお,油体はそれぞれ「小粒:表皮細胞,大粒:内部細胞」に含まれている。油体が「 1細胞に 1個(稀に 2個)」というのも注目点。キテングサゴケ R. flavovirens の油体が似ているように思うが,「小粒」がすべての「表皮細胞」にある点が異なる。本種では,半数以下(実際は±1/4)の表皮細胞にしか油体は含まれない。また,大小の対照が本種ほど極端ではなさそうな気がする。しかし,キテングサゴケは比較的採集されている種なので隠岐にもあるかもしれない。本種と勘違いしないよう注意すること。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=999363652&owner_id=2651499
初回の時,「油体がすべてきれいな球」であることにこだわっているが,今度のは「やや角張ったのや,長めの」ものが混じって多少不規則,文献の記載通りだった。大小の差については,前回は論文にある図より控えめだったが,今回は図よりも過度に感じた。


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 簡にして 素とはこのこと 吾亦紅      鷹羽狩行
 省略とは 点と線との 吾亦紅        山田みづえ
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