検索フォーム

丹後の日記

トウヨウネジクチゴケ Barbula indica編集する
2009年08月27日20:44全体に公開
4 view
「必ずあるはず」と前から捜していたが,やっと気付いた。懸案の一つが解決して,一杯飲みに行きたいところである。これは今まで見逃して来たかもしれない。初心者は普通,胞子体のないセンボンゴケ科は採集しないものだ。またネジクチゴケ B. unguiculata か!がほとんどだし,採集しても手に負えないことも多い。

今回の採集も極めて消極的で,ネジクチゴケ だろう(確率 80%で)と思っていた。ただ,エゾハイゴケ Hypnum lindbergii が群生する特別な場所だし,生え方が疎らなので(ネジクチゴケはもっと固まりやすい)採集してみる気になった。やや小柄で葉が疎らという印象もあった。林道コンクリート側溝の濡れた垂直面,この感じは前にも見ているような気がする。

同定の時に一番重要なのは,中肋上部背面の細胞の形とパピラである。本種の背面表皮細胞は長い矩形で,2つの細胞のつなぎ目(矩形の上下端)に 1個の瘤(パピラ)ができる。つまり,細胞の境界(切れ目)をはさんで 2つの瘤が並ぶ(接する)ことになる。一方ネジクチゴケの方は,細く長〜い線形の細胞で両端が尖り,全く別のものである。その上に 1列にパピラが並ぶのが特徴とされているが,これは小さく低くてよく見えないこともしばしば。パピラがないこともあるので注意した方がよい。この辺りあまり詳しい説明がないのは残念(図もない)。現物を見て自分で苦労しろ!いうことなんだろうか。その「現物」が分らないのだが・・・。

もっとも,ネジクチゴケとの区別だけなら無性芽を捜した方がよいかもしれない。無性芽はたいてい(ordinarily)ついているようである。今回の標本でも最初は気が付かなかったが,スライドグラスに大きいのが多数落ちていた。胞子体にも差があるが,北米の図鑑によると胞子体は「稀」となっている。

和名は別名の B. orientalis から来たものであろう。かつては東洋のものと考えられていたが,最新の文献によると全世界に分布している。ハワイ・アフリカ・南米・オーストラリアも。あるいは帰化したのかな?

 【追記】
中肋・上部・背面・表皮細胞の図
わずかに以下の 2つが見つかった。
 B. indica : K. Saito 1975. A monograph of Japanese Pottiaceae (Musci)
 B. unguiculata : 平凡社図鑑


---------------------------------
 残りさく 夾竹桃に 秋あつし            碧雲
 椿の実 くれなゐ深む 残暑かな       篠塚しげる
 雀瓜 垂れてあえかに 残暑光        小松崎爽青

コメント

丹後

close
  • 絵文字

利用規約および個人情報保護ページに同意のうえ投稿してください。

日記を書く

友人の最新日記

<2009年08月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

日記の使用状況

0.8MB/2000.0MB