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丹後の日記

ミヤケテングサゴケ Riccardia latifrons var. miyakeana編集する
2009年08月26日22:18全体に公開
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これでスジゴケ属 Riccardia は隠岐で 8種め。少し多すぎる気がするが,古木先生のすぐれた論文の力が大きい。ちなみに,山口:9,岡山:4,広島:13,愛媛:5,京都:6種,の採集記録がある。

渓流の岸で空中湿度の高い場所,ボロボロに腐った松の切株にあった。腐木上の Riccardia は初めてなので,多分未知の種だろうと思った。一面に広がって生育状態は良好に見えるのに,そう大きくはない。葉状体の最終裂片の幅が 0.7-1.0mm,本属としてはいわゆる中型 medium-sized である。

Riccardia の同定には油体が非常に重要で,油体がないと初心者は手も足も出ない。そもそも同定しようなどという気が起きない。検索表をたどって「油体は非常に小さくて径 2.5μm以下,単粒」の箇所に行き着いた。ところが,いくらしつこく検鏡しても油体が見つからない。葉緑粒の散らばる中に,明るく光って浮んでいるはずなのだが。記載を読んでみると,「時々欠く sometimes lacking」ということらしい。「時々」の程度がよく分らない。

「伊勢神宮宮域産 苔類図鑑(孫福正・山田耕作)」と「近畿地方の苔類(児玉務)」にこの種が載っていたが,「油体を欠く場合がある」とは書いてない。すっきりしないので,古木論文で 1つずつ Riccardia 全種の記載を見て行った。「内部細胞も含め,油体が全くない」ことがあるのは本種に限るようである。なお,同一種でも国によって多少の違いがあるようで(他の種でも時々経験する),イギリスの図鑑には「油体はない(Oil-bodies lacking in all cells.) 」としか書いてなかった。

それほど珍しい種でもないようなので,今後腐木をあさって「透明均質な微粒」の油体を見てみたい。また,葉状体表面にできるという「Crystalline structures」とは何だろうか。

なお,表皮細胞が長さca.75μmと大きく,母種ヒロハテングサゴケ var. latifrons により近い。だがそれは亜高山の種なので違うということにする。


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 好晴の 畦には畦の 草の花           岸田稚魚
 小さう咲いて まことしやかの 小草かな     村上鬼城
 束ねても 色のさびしや 草の花         杉原美好

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