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丹後の日記

セイタカネジクチゴケ Barbula javanica編集する
2009年07月25日14:08全体に公開
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道端にあるお地蔵さんの小さな泉。縁の湿った石をツクシツボミゴケ Jungermannia truncata が覆っていた。その中に埋れて疎らに混生,それと気付かずに採集した。このところこの採集パターンが続き,トカチスナゴケ Racomitrium laetum,オオコブゴケ Oncophorus virens に次いで 3例目になる。いずれもあまり一般的な種ではない(むしろ珍奇)。

特徴を気付いた順に挙げる。
(1) 葉は淡い緑で,透明感があり非常に柔らかい(瑞々しい)。
(2) 中肋は強く,背中に飛び出し,オレンジ色で目立つ。
(3) 葉の先端は円頭〜鈍頭(〜やや尖る)。
(4) 中肋はふつう葉頂に達せず,直前で突然終る。
(5) 葉が円頭だったり中肋が葉頂に届かないのは,上部につく若い葉でより顕著。
(6) 葉が中肋に沿って溝状に凹み,葉先はややボートの舳先状になる。
(7) 葉は細長い舌状であるが,茎の下の方では長卵状に変る傾向がある。
(8) 茎の高さは 4mm強,葉は ±1.8×0.4-0.8mm で小さく軟弱な感じ。
(9) すぐ水に濡れるような石の上を好むようだ。
(10) 乾くと葉が中肋に沿って畳まれるが,強い管状ではない。
(11) 湾曲してかなり縮れるが,巻込んで強く巻縮する(Weissia 型)ことはない。

(12) 中肋表面は背腹両面とも短い矩形細胞からなり平滑。下に行くにつれ長くなる。
(13) 茎にはごく弱い中心束が分化する。表皮細胞は小さく厚膜。
(14) 葉身上部の細胞にパピラがなく非常に明るい。腹側にのみ弱いマミラがある(葉身上部で明瞭)。ほぼ矩形で長さ±8μm。
(15) 葉身下部の透明部は長く大きな矩形(代表値で50×12μm)からなり,占める面積も全体の 1/3〜1/2と広い。
(16) 中肋は太くて厚みがあり,背腹両側に明瞭なステライドがある。

唯一の気掛りは (13)で,明瞭な中心束がないことである。センボンゴケ科の種にはかなり変異の幅が広いものがあるが,本種の中心束はどの程度の強さで,どこまでが許容範囲なのだろうか?情報のないものはどうしようもない。「葉身細胞にパピラがない」ことを手掛りに,センボンゴケ科 80種ほどを一つずつ当ることにする。K. Saito (1975) と A. Noguchi (1988) がある。どうも体力勝負になって来た。


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 ほほゑみと いふしづけさに 合歓の花      坂本宮尾
 汗ふいて いそぐことなし ねむの花        裏里棗子
 誰もゐぬ 合歓の下にて 憩はんか        榎田マツノ


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