Cyathophorella hookeriana と C. kyusyuensis の違い,最初に採った標本は,葉舷,中肋ともに比較的明瞭で,迷わずに C. hookeriana と同定した。2例目の標本の時は無性芽が沢山ついていて目立ったためか,細かく調べもせず C. hookeriana と決めていた。
今回採集したものは,殆ど葉舷が感じられず(多少の細胞の分化はある),中肋もほとんどないため C. kyusyuensis かも知れないという気になった。どうしても,C. hookeriana とは思えない。
しかし,両方の特徴が(野口先生の Illustrated Moss Flora of Japan による)混じって現れている。
そこで,2例目の標本をよく調べてみたら両者の中間のものだった。どう区別するか?悩みまくって,コミュニティ『このコケなに?』用に質問を作っていた。「果たしてこの 2つは別種なのでしょうか」という疑問も付け加えて。
アップする前に念のためにと思って,Z. Iwatsuki New catalog of the mosses of Japan (2004) を見て驚いた。
両種が,Cyathophorum hookerianum (コキジノオゴケ)として統合され1つになっていた!fide Kruijer(2002)。
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菫越して 小さき風や 渡りけり 篠原温亭
菫つめば ちひさき春の こゝろかな 加藤暁台
菫の如き 女と云へば やや誇張 竹腰八柏