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丹後の日記

ヒツジゴケ Brachythecium moriense編集する
2009年04月06日22:14全体に公開
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検索表(平凡社の図鑑)の,「茎葉の先は毛状」の箇所で少し躊躇したが普通に考えると毛状(piliferous)でよいと思った。以下,(a) 「茎葉の葉身部は三角状卵形でやや急に細く長く尖り」,(b) 「翼部の方形細胞群は多くて中肋にまで達する」ので本種だということになる。検索表では特に問題となるような点はない。

しかしちっとも本気にはなれない。本種が採集記録のほとんどない稀少種(?)だということもあるが,どうも Brachythecium だけは「検索」ができたからといって即信用する気にはなれない。数が多く皆よく似ていて,種を特定できるような決定的な特徴が少ないような気がする。このコケともしばらくつき合うことになりそうである。人とのつき合いをやめ,今はコケとしかつき合っていない。仲間が増えて結構だ。

上記の (a),(b) は顕著な特徴であるが,この 2つの条件にあうものにもう 1つヤリヒツジゴケ B. hastile というのがある。これはヒツジゴケよりも更に得体の知れない希産種のようである。実は検索表で「茎葉の先は毛状にならない」を選択するとこの種に行き着く。毛状かどうかは結構微妙なので困る。また,N. TAKAKI 1955 の検索表ではこの種の方になってしまった。ヒツジゴケとは「小型」かどうかで分かれるのだが,少なくとも採集標本で見る限りナガヒツジゴケ B. buchananii などの通常の大きさのものよりはっきり小さく見える。枝は±3mmの長さしかない。しかしヤリヒツジゴケはあまりにも特異なものだ。

ヒツジゴケの著しい特徴(striking character)に仮根が多いということがあるようだが,短い枝がきつく絡み合ってほぐすのが難しいほど,その点はよく合っている。以下ヒツジゴケとすると気にかかる点を挙げておく。
 (1) こんな小さい型もあるのか(正常に育って)。
 (2) 葉がほとんど凹まない。
 (3) 葉身細胞がやや厚膜に見える。
 (4) 図鑑の「茎葉は長さ 2.5-3.5mm」。間違いか?標本では 2mm以下。


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