難解で思わず引いてしまう属,アオギヌゴケ属・ハイゴケ属・シノブゴケ属・ツボミゴケ属 (苔綱)。これらの仲間には,取りかかる前から負けてしまいそうな気になる。アオギヌゴケ・シノブゴケについてはある程度自分なりの感じをつかんだつもりだが,ハイゴケ属については全く自信がない。
今回,「日本のハイゴケ属」 安藤久次 (平岡環境科学研究所)が入手できたので,勇気が出て手を出してみた。この論文は素晴らしい。今まで見たコケの解説の中でも最高のものの一つである。断トツかも知れない。
ハイゴケ Hypnum plumaeforme,オオベニハイゴケ H. sakuraii,ヒメハイゴケ H. oldhamii,ヒラハイゴケ H. erectiusculum の4種が確認できた。
残ったのは,蓋が短い嘴を持ち H. plumaeformeではあり得ないのだが,葉の翼部は H. plumaeforme そっくりな(?)もの。今後の宿題である。
知見 1: 形態・生態とも変異が多く,葉の翼部が最も重要な手がかりになるが非常に観察がしにくい。葉を大量に剥がし,1枚ずつ丁寧に見ること。
知見 2: 胞子体の情報が極めて有益なので,胞子体付きを丹念に捜すこと。また,胞子体を見付けたら必ず採集すること(蓋あり,蓋なしの両方)。
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沈丁の 四五花はじけて ひらきけり 中村草田男
沈丁花 あたりかまはず 匂ひけり 植竹孝吉
冴返(さえかえ)る 二三日あり 沈丁花 高野素十
一冊にまとまっていて,わかりやすい.
それでも,ハイゴケ屋さんのレスでも出てくるウルワシウシオゴケとオオベニハイゴケが他人の空似??をするそうな・・・
ハイゴケグループほんと手強しです.